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58話 ためらっちゃ駄目よ

この感覚は、覚えがある。

昔、そう、昔の懐かしく甘い感覚だ。


「母さん」


思わず叫んだ。


そのまま眼下で戦う半魚人を眺め直してみた。

やはり同じに見える。

そっと目を閉じてみた。

心を落ち着け、ざわめきを静め、当たりを見渡

した。


色々な固まりがうごめいている。

しかしその固まりの色は同じだ。

二つ違う色がある。

紫と赤。

おそらく紫は力也、赤は翔太だろう。


首を回し思いをあちこちに張り巡らすと、あった

もう一つ、淡くピンクに輝く想いの固まりが。


あれか、あれが本体か


千秋は目を見開いた。

ピンクに輝いていた想いの固まりは、他の半魚人

より動きが少ない一匹の半魚人だ。


「見つけたわね」


雪の言葉を待つまでもなく、千秋はその半魚人に

焦点を当てた。


「行ってきます」


「待って」


勇む千秋を引き留めると


「本体を殺すこをためらっちゃだめよ」

「どういう事?」


「行けばわかる、いい、絶対ためらってはダメ、

 本体を殺すことによって救われる者がある、

 それを信じて、必ず仕留めるのよ、半魚人の

 本体を」


躊躇する千秋に


「さあ、行きなさい、あなたの心を信じて、行

 きなさい」


千秋は、複雑な思いを残したまま半魚人の群れ

に飛び込んで行った。

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