56話 力也と翔太
突然現れた松田翔太の出現に力也は驚いた。
ハンターが使う指輪武器を使用している。
しかしハンターの制服は着ていない。
翔太が力也に背を着けた。
頭一個分力也の方が背が高い。
「お前ハンターか?」
力也の問いかけに
「お前こそハンターか」
翔太は中々強い。
襲ってくる半魚人を視線も合わさず切り捨てて
いく。
力也は言葉につまりながら
「元ハンターだ」
「じゃあ、あの女と同じか」
千秋の事を言っているのだろう。
何にしても助かった。
さほど強くはないが、しつこい。
まとわりついてくる数の多さにうんざりして
いた。
殺っても殺っても、ちっとも数が減らないのだ。
ちらり翔太の闘いぶりを見れば、自分の身は自
分で守れる力量はありそうだ。
これなら助っ人としては心強い。
とりあえず、彼がハンターであろうとなかろう
と、半魚人が敵だと言う認識は持っているよう
だ。
ここは仲良くしておいた方が得だ。
「力也、竹内力也と言う」
松田翔太に背を預けながら力也が自己紹介すると
ちらり、力也に目線を向け
「松田翔太だ」
そのまま半魚人の群れにとびかかって行った。
丘の上では千秋は腕組みをして考え込んでいた。
本体を見極めろと言うが、わからない。
どう見ても、どの半魚人も同じだ。
突然また(ぬう)と雪の顔が千秋の前に出現し
た。
「きゃ!」
千秋は半歩下がると雪を睨みつけた。
もう、この出現の仕方は勘弁してほしい。




