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53話 動けば首を飛ばす

「本能と言われても」


「早く行ってあげないとさすがのタフガイもや

 られちゃうわよ」


雪は華の頭を撫でながら力也の方向を指さした。

確かに力也一人でいつまでも持ちこたえられる

はずもない。


「さあ行きなさい、戦いの中で見つけるのよ、

 あの半魚人の本体を見極める方法」


雪は千秋の身体を押すと、そのまま風圧で千秋

を力也の横まで移動させた。


「おう、千秋、あの子はどうした」


「雪さんが見てくれてる」


「雪?」


力也は雪のいる方向に目を向けると


「ちぇ、あの銀グール、助けてくれてもいいと

 思わないか」


千秋は剣を取り出し、自分の周りの半漁人を倒し

ながら


「こいつらの本体がどこかにいるはず」


「本体?」


「力也、忍者物の漫画見たことある」


「あああるが」


力也も話しながら、どんどん半魚人をなぎ倒して

いる。


「じゃあ、分身の術ってしってる」


「こいつら、分身か」


さすが、漫画の話で説明すると飲み込みが早い。


「本体やっつけたら、分身も消えるそうよ」


「どれが本体なんだ」


「わからないの」


「あの女教えてくれなかったのか」


千秋は答えず、半魚人の群れを見た。

一人一人が、独自の考えで襲ってきているように

見える。

とても分身には見えない。


「本体を探してみるから、力也、悪いけど又一人

 でこいつらと遊んでいてくれる」


実際に戦ってみて一匹一匹の実力はたかが知れ

てる。

時折刺さる貝槍のダメージもほとんどない。

厄介なのはこの数の多さだけだ。


千秋はそのまま一気に半魚人の集団から離れると

小高い丘に駆け上った。

上から集団を眺めた。


特に本体とわかる動きはない。

さっぱりわからない。

雪の方を見ると、しきりに頭を指で叩いている。

頭を使えという意味なんだろうが、何も湧いて

こない。


と、その時だった。

首筋にヒヤリとする感触を感じた。

手で首筋を抑えてみると、いつの間にか刃が首

に当てられている。


「嘘、、、」


いくら考えに集中していたとはいえ、剣を持っ

た人間の気配を感じないなど、ありえない。


恐る恐る剣に手を当て、振り向いてみればそこ

には一人の男が立っていた。


「動くな、動けば首を飛ばす」


男はゆっくり千秋の剣に手をかけ奪い取ろうと

した。

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