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49話 半魚人現る

「待て千秋一人で行くな、危険だ」


力也はどんどん海岸に向かって走る千秋を追い

かけるが、中々追いつかない。


突然千秋が止まった。

止まったと思ったら方向を変えテトラポットに

向かい又全速力で走り始めた。


「おい、千秋」


走り方が尋常じゃない。

力也も真顔になり、全速力でその後を追った。


テトラポットの周りでいくつかの(物体)が歩

いている。

どう見ても人間ではない。


「ちぇ、グールか」


力也はさらにスピードを上げた。


先にテトラポットにたどり着いた千秋は、テトラ

ポットの空洞に飛び込むと、中から小さな女の子

を抱き上げた。


少し遅れて力也も追いついた。


女の子は10歳くらいか。

赤いベストを着たおかっぱ頭の目のクリッとした

子だ。

自分の周りにおかしな生物がいた事にはまったく

気づいていないようだ。


屈託のない瞳を千秋と力也に向け、笑いかけてき

た。

手は千秋の首にしっかり巻き付けている。


「知り合いか?」


「ううん、知らない子」


「こいつら何者だ」


「それも知らない」


ゆいは改めて目の前にいる不思議な生物に目

を移した。


人間のようだが、人間ではない。

全身がうろこでおおわれ、顔は逆三角で頭が尖って

いる。

長い尾はワニのようにがっしり筋肉質だ。


「おい、俺には映画で見た半魚人のように見

 えるが」


「私にもそう見えるわ」


ゆいはゆっくり女の子を下ろすとしっかりそ

の手を握った。


「名前はなんていうの」


「華、マツダハナていうの」


「何でこんなところに一人でいるの?」


「お兄ちゃんと遊んでたんだけどはぐれちゃった

 みたい」


相変わらず屈託がない。


「あのおかしな半魚人、何だか知ってる?」


「悪者、兄ちゃんが近づくなって言ってたもん」


「そう、悪者なのね」


千秋は華を自分の後ろに隠すと


「力也聞いた、悪者だって」


ゆっくり力也に近づいた。

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