41話 製造方法は頭の中よ
グール対策用の弾丸が出来たことを反乱軍が知
っていると聞かされたメイサは最初は驚いて見
せたが、意外に平然としている。
「でも反乱軍が知ったところで問題ないでしょ」
「何故だ」
「だってこの弾作れるの私と浜田さんしかいない
んだから」
「そりゃそうだが、作り方の方法さえ盗み出せば
誰でも作れるのじゃないのか」
「言ったでしょ、ミトコンドリアの培養液が無い
とこの弾は作れないの」
幽厳はメイサを睨むと
「そうか、誰もが簡単に作れる代物じゃないって
ことか」
「それとね、将来的には市販するから誰でも手に
入れることできるし、わざわざ盗む必要ないと
思わない」
「むしろ、狙うとしたらグールの方よね、この弾
が量産され、誰もが持つようになったら、それ
こそ危機でしょ」
「わかった。お前と浜田には今後護衛をつけるこ
とにする」
「そんな大袈裟な事、必要ないわよ」
「お前が無くとも、俺が困る、今お前らがグール
にかっさらわれたら」
「グールも知ってると思うの、この話」
「当たり前だろうが、反乱軍が知っていると言う
ことは、当然グールの耳にも入っていると思う
のが現実的だ」
「嫌だ、怖いわよ私」
「だから護衛をつけると言ってるだろうが」
「それと」
メイサがニタリと笑っている。
「なんだ薄気味悪い」
「弾のレシピの話なんだけど」
「レシピ?」
「製造方法よ」
笑いながら又足を組み替えると
「具体的な製造方法を書いたレシピ本は無い
わよ」
「どういう事だ?」
「浜さんがね、スパイがいると困るからって、
敢えて残さなかったの」
敢えて浜田の考えにした。
「浜が?で、じゃあどうして作るんだ」
「作り方は、私と浜さんの頭の中にしかないっ
て事」
探るようなメイサの視線を避けると幽厳は乾い
た笑いを発した。




