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33話 俺のせいじゃない!

幽厳村正は、葉巻に火を付けた。


タバコ葉巻の類はハンターには禁止令が出て

いる。

気の集中力に影響が出ることが科学的に実証

されていたからだ。

現に隠れて吸っていたハンター達を厳罰に処

した事もある。


規律は厳守すべき奴らと、そうでない者がい

る。

規律とは、強き者が弱きものを守るために必

要なアイテムのようなもの、強き自分には適

用されない。

これこそが、幽厳村正の根底に流れる哲学だ

った。


強き者は何をしても許される。

何故ならば、強き者だからだ。

強さこそが、世に示す絶対的な物の証なのだ。


千秋達の逮捕失敗も癪に障るが、それ以上に

腹が立つのが、反乱軍を壊滅しそこなったこ

とだ。


反乱軍を急襲した者から、その報告を受けた

時、幽厳村正は愕然とした。


アジトには誰もいなかったと言う。

急襲が反乱軍に漏れていたとしか考えられない。


今日まで、計画の破綻はまず、なかった。

鉄の掟のせいだと自負していた。

それがどうだ。


千秋達の逮捕失敗に続き、反乱軍壊滅作戦も

失敗に終わった。


自分の作戦が二つも同時に失敗したことは初

めてだ。

何かが狂い始めた?

ふと、そんな考えが頭をよぎったが、慌てて

その考えを打ち消した。


後悔は未来への破滅につながる。


失敗には相応の原因があるはず。

まずは、その失敗の原因を探る必要がある。


この二つの失敗には必ず、共通項があるはずだ。


また、栗原千秋の姿が頭に浮かんだ。

頭を何度振っても、フト頭をよぎる。

あの哀愁に満ちた瞳で、幽厳を見ているのだ。


もっと早く始末すべき女だったかもしれない。

俺はそう思っていたんだ。

しかし、、

しかし、、


あの方がそれを許さなかったのだ。


原因はあの方だ。

あのお方のせいだ。


俺に非はない。

俺の考えはむしろ正しかったのだ。


栗原千秋、あの女が全ての元凶だ。

小さなほつれは、未来の破壊につながる。


俺は進言したはずだ、栗原千秋を殺すことを。


にもかかわらず、止めたのは、あのお方だ。

俺ではない

俺のせいでは、決してない。


あのお方のせいなんだ。

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