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32話 幽厳村正の魂胆

それにしても、、

幽厳は舌打ちをした。


あの女何を飲んだんだ。

画像を改めて自分でも見てみたが、銀グール

からもらった何かを飲んだ後、強くなった。


幽厳も最初は千秋達逮捕に付き合うつもりだ

ったが、何か嫌な予感がしたのだ。


行かなくてよかった。

正直そう思っている。


ハンター12名を子供のように蹴散らして逃げた

と言うが、もし話が本当なら、幽厳がいても態

勢は変わらなかっただろう。


元々、あの栗原千秋という小娘、気に入らなか

った。

大概の連中は幽厳村正を見る目に脅えが漂って

いた。

あの怯えこそが、幽厳村正に対する忠誠の証で

もある。


しかしあの小娘にはそれがない。


侮蔑と憐悲の混ざったイラつく眼差しで幽厳を

見てくる。

あの瞳は許せなかった。


剣の実力は幽厳村正の方が上だが、あの小娘に

はそれ以上、何か得体のしれぬ強さが潜んでい

ると、前々から思っていた。


それは、いわば瞬発力にも似た、秘められた能

力だ。

現に千秋とこの数年、行動を共にしてきたが、

戦えば戦う程千秋は強くなっていく。


戦う相手の弱点を闘いの中から、探り出し、一

番有効と思われる一撃を繰り出す。


闘いが激烈になればなるほど、千秋は落ち着い

てくる。

その冷静さこそが、幽厳村正には、千秋へ抱く

底知れぬ恐怖の源でもあった。


栗原千秋といれば負ける気がしない。

しかし、それは、裏を返せば幽厳村正にとっ

て、最大の脅威でもある。


ハンターの秩序維持は、この混沌とした世界にあ

って、守り切らなければならない絶対事項だ。


人喰いグールに対抗するには、ハンターの結束力

が欠かせない。

結束力に欠かせない一番の物、それは鉄の掟だ。


恐怖で縛りつけることこそ、組織維持の要だ。

幽厳村正はそう信じ、そう行動してきた。


能力の限界値が不明な栗原千秋みたいな

半端ものが組織にとって一番の厄介者なのだ。


だからこそ幽厳村正は、敢えてその栗原千秋

を、そして反乱軍のスパイとわかっている

竹内力也を配下にし行動を共にしていたのだ。


いざとなれば、自分が抹殺して殺る。

そううそぶき、ある種優越感を抱いて今日まで

二人を欺き、仲間のふりをしてきたが、蓋を取っ

てみればこのざまだ。


俺はケツを見せて逃げ出してしまった。

あの栗原千秋と言う小娘に。


あの女、あいつだけは、許すことはできない。

俺が、この手で、凌辱の限りを尽くしてあの

女を切り刻んでやるんだ。

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