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25話 囲まれた二人

力也の身体を軽々と持ち上げる千秋に


「お前力持ちになったんだな」

「言ったでしょ、私、変わったって」


言いながらも、千秋自身驚いていた。

篠原雪からもらった薬の効果は三分しか持た

ないはずだ。


しかし、聴力の異常な発達、それに確かに力

も強くなっている。

自分でも全く、意味が分からないのだ。


おまけにこの(どんくさい)力也が反乱軍の

スパイであり、千秋自身はいわれのない理由

で逮捕されようとしている。


状況は最悪だ。


どちらにしても、もう二人ともハンターの本

部に戻る訳にはいかない。


千秋は片手で力也の携帯を力任せに握りつぶ

した。

グニュと歪んだ携帯はそのまま、まるで飴細

工のように粉々に飛び散った。


「嘘!」


自分でも力の加減がよくわからない。


「な、なんだよ、その力は」

「私だってわからないわよ、なんでもいいか

 ら私の携帯も返しなさい」


力也から携帯を奪い取ると同じように粉々に

粉砕した。


「何で壊すんだ」

「嫌でしょ、後で携帯の中身、あの幽厳に調

 べられるなんて」

「まあな」


持っていればGPS機能で居場所が特定される。

どのみち破壊するしかないのだが・・。


と、千秋の動きが止まった。


「どうした千秋」

「遅かったみたい、幽厳、自分はここから立ち

 去り私達を捕えるために近くにいたハンター

 達をすぐ呼び寄せたみたい」


流石幽厳だ。

千秋達の行動を読み切っている。

読み切って、その中の最高の手を打ってきた。


「数は」


千秋はしばらく目を閉じると周囲をうかがった。

まるで高性能のレーダーが頭の中に埋まってい

るかのように周囲の状況が手に取るようにわか

る。

驚きたいが、驚くよりまずはここから安全に脱

出することが先決だ。


「少しやばいみたい」

「どうやばい」

「4チーム、ハンター4チームで周りを囲んで

 いるわ」

「さっきまで俺達仲間だったんだぞ、あいつら

 の」

「残念だけど、私達、嫌われていたみたい」


ハンターチーム全員から強烈な殺気が読み取れ

たからだ。


「千秋、俺をここに置いて、お前だけ逃げろ」


力也が千秋から肩を外そうとした。

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