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252話 破滅  第一章終了

「出来ました」


妻夫木が調整し終わった腕輪を力也に渡した。

その腕輪をもどかしそうに奪うと力也はニタリ

笑った。

太陽を作り出せるほどのエネルーギーが自分に

あると言われ、嬉しくてしょうがないらしい。


雪と元木が話していた(パラサイト)の話は力

也の喜びの声でかき消されてしまった。

まだ話し足りなさそうな雪を無視して


「プルンプルンしてるぞ」


力也が腕輪を指先でつまみその感触を大声で

叫んだ。


「その腕輪の中では今、核融合に似た現象が起

 きていますから、多少動きがあるのはしかた

 ありません」


妻夫木は力也に親切に説明した。

元木の表情が一瞬険しくなると、その横では

メイサが眉をひそめた。


「核融合って・・」


「疑似ミトコンドリアの遺伝子を腕輪の中に溶

 け込ませ、電子をぶつけているの。疑似核融

 合だから本当の核融合じゃないわよ」


雪が慌てて付け加えた。

おかしな雰囲気だ。


「でも、それって核爆弾になりうるんじゃないの」


「大丈夫、融点にまでは達しないはずだから」


雪が苦しそうに釈明する。

何故雪が必死に釈明するのか、そのことが余計

メイサの疑惑を深めたようだ。


「達しないからと言って、危険じゃないの。少

 し知識があれば・・・」


「人間の核そのものが核爆弾になりえますから、

 この腕輪がどうこうは、特に意味があるとは

 おもいませんが」


妻夫木が能天気に又いらぬことを口走った。


「妻夫木君、喋りすぎですよ」


元木が妻夫木の言葉を遮った。

厳しい表情で妻夫木を睨みつけている。


「人間の体が核爆弾に?」


「あ、言葉のあやですよ、あくまでも比喩とし

 ての話ですから」


妻夫木は慌てて言葉を訂正した。

自分がしゃべりすぎたことにきずいたようだ。


「おい、なんの変化も感じないけど、これでい

 いのか」


力也が腕にはめた腕輪を見ながら妻夫木に聞い

てきた。

腕をブルンブルン、振っている。

腕輪自体は力也の腕にピタリヒットしているが

それ以外は何の変化も感じていないようだ。


空気を読めないとは力也の事だ。

なにやら陰謀めいた裏が腕輪の中に隠されてい

そうだと言うのに、強くなる事ばかりに頭がい

っているのか、メイサの話の腰をズタズタ切り

裂いている。


力也の言葉に、これ幸いと、妻夫木はサラリ、

話の方向を変えた。


「力也さんの場合、実戦的と言うか実戦型と言

 うか、実際に戦いの場にならないとその効果

 がわからないはずです、それと、エネルギー

 そのものは体の中にあっても、それを取り出

 す出力の方法は、各個人が相応の方法で導き

 出すしかありませんから、今現在はそんなも

 のですよ」


「ふーん、なんか騙されたみたいな気がするが、

 強くなったのは間違いないんだろうな」


「ええ、力也さんは途方もないくらい強くなっ

 てるはずです」


妻夫木は胸をたたいて見せた。

チラリ、元木の方を気にしながら・・・


「新車のおろしたて見たいなものです、馴染ま

 せるのに少し時間がかかるかわかりませんが、

 力は徐々に増大されて行くはずです」


そのままメイサに視線を移すと


「じゃあ、次はメイサさん・・」


「私、私はやめとくは、核爆弾腕にはめている

 なんて思ったらゾッとするから」


メイサはあっさり断った。


「えっ」


妻夫木の表情が変わった。

明らか動揺している。


「ダメですよ、元々この腕輪は、雪さん、メイ

 サさん、そして千秋さんにはめていただくた

 めに調整してきたんですから」


雪は黙ったまま、元木を見つめている。

ふっと、元木が雪の視線を外すのを見て雪は

手にはめた腕輪を抜き取ろうとした。

しかし腕輪はがっしり雪の腕に食い込み外すこと

ができない。


「何か企んでるわね」


雪が元木に叫んだ。


「企むも何も、君達には強くなってもらわないと

 困るんですよ」


元木は雪を真正面に見た。

どうやら(ここまで)と見切ったようだ。

居直るかのように


「せっかく強くしてあげようと思ったのに協力

 してくれないのなら・・・」


雪が戦闘態勢を取った。

藤木はその雪の横で同じように戦闘態勢を取っ

ている。

メイサと千秋も雪の元に集まった。

力也も何か話がおかしいと感じたのだろう。

腕輪を取ろうとしたが、きっちり食い込み

外すことができない。


「雪とあの筋肉馬鹿以外は抹殺しなさい」


元木はそう言うと、部屋から出て行こうとした。

その時突然奥の扉が開くと、丸山が転がり込んで

きた。

部屋の中に入り、千秋の姿を見つけると、一瞬

ぎょっとした表情をしたが、すぐ素知らぬ顔をす

ると


「戦争がはじまりました」


「もうか」


元木が首をひねった。

戦争が起きる事はわかっていたようだ。


「戦争って何よ」


千秋が丸山に叫んだ。

丸山の身体が一瞬震えた。

千秋にコテンパタンにやられたのはつい昨日

の事だ。

挙句命まで救われた相手だ。

恐怖と感謝の入り混じった感情が思わず千秋

の問いに答えてしまった。


「半魚人です」


言葉まで敬語に代わっている。


「なんで半魚人が、誰に対して戦争を吹っ掛

 けたのよ」


「人間に決まってます」


「リーダーは幽厳村正ね」


雪が丸山でなく、元木にたづねた。


「ほう、幽厳村正が半魚人と手を結んだこと、

 雪博士は御存じだったのですか」


「推理しただけ」


雪はサラリ言うと


「元木博士はこうなる事を予想されていたんで

 すね」


「勿論です、だからこそあなた方には強くなっ

 てもらわないと困ると思い、腕輪を用意した

 んですが」


「嘘仰い、この腕輪、他にも何か目的があるん

 でしょ」


「さあ・・・」


元木はとぼけると


「さて、話はここまでです。私は半魚人征伐に

 向かわなければなりません、あなた方も、も

 しその気になれば手伝いに来てください」


そのままフット、姿を消した。


「妻夫木さんこれはどうゆう事なの」


妻夫木は突然姿を消した元木に唖然としていた。

元木がいたから強気にでていれたのに、それが

突然いなくなるとは・・・


情報を持ってきた丸山も元木と同時に消えている。

おそらく元木と共に行動しているのだろう。

あたりを見渡すと、部屋の片隅に四天王の一組

車屋菜々緒グループが残っていた。

慌てて菜々緒に近づくと


「菜々緒さん、助けて下さい」


菜々緒にすがりつつ、睨みつける雪の視線を外した。


「この腕輪大丈夫なの」


菜々緒が自分の腕輪を妻夫木に見せた

菜々緒の腕輪はもうほとんど溶けかかり、体の

一部になっていた。


今の話を聞いていて、菜々緒達も気になったの

だろう。

菜々緒に限らず、ここにいたS級グールたちは

全員腕輪をはめさせられていたからだ。


菜々緒に睨みつけられ妻夫木は慌てて手を振った。


「違うんです、腕輪自体になんの危険もありま

 せん」


「じゃあ、他に危険があると言うの」


「それは!」


妻夫木は又口を押えた。

どうも一言多いようだ。


「元木博士もいなくなったんだから、正直に言い

 なさい、言わないと」


菜々緒はチラリ横に立っている亜門源兵を顎で

指した。

言わないとわかってるでしょうね、と目で合図

したのだ。


「その腕輪は来たるべき地球汚染に対する対応

 策なんです」


「どうゆうこと?」


菜々緒は首をひねった。

妻夫木は未だ腕輪をはめていない千秋とメイサに


「こんな身勝手な事言っても信じてもらえないか

 もしれませんが、半魚人が戦争を仕掛けてきた

 と言う事はこの腕輪対策が早急に必要になりま

 す。お二人方、だまされると思ってこの腕輪は

 めていただけないでしょうか」


「はめないとどうなるんですか」


千秋が優しくたづねた。

雪達が元木と話している間、千秋は全くの無言だ

った。

話を聞いていなかったわけではない。ただ別の

人と頭の中で会話していたのだ。


頭の中の人、それは千秋の母だ。

未だ調和が取れていない異種ミトコンドリア達に

囲まれ、中々母との会話ができなかったが、事、

緊急と母が判断したのだろうか、唐突に現れ頭の

中で叫ぶのだ。


「腕輪をはめなさい、今すぐに、話はそれから、

 とにかくはめなさい」と。


「はめないと、皆さん消滅してしまいます」


「なんで消滅するの?」


「それは・・・」


言い淀む妻夫木に


「核爆発が起きるんでしょ、それとも起こすの?」


雪が妻夫木を睨みつけた。


「違うんです、雪博士は大きな誤解をされている

 んです。元木博士は破滅する地球を救おうとさ

 れているんです」


「破滅する地球ってどうゆう事なんです?」


千秋は雪と妻夫木を交互に見た。

妻夫木の言ってる事がよく呑み込めない。

それと、頭の中では母が叫んでいる


「話はいいからとにかく腕輪をはめなさい、と

 にかくはめるのよ」


半狂乱に近い叫び方だ。


「妻夫木さん」


千秋は妻夫木に近づいた。


「この腕輪をはめればいいのね、私の腕輪はど

 れなの」


きょとんとしている妻夫木に


「早く教えてよ」


「あ、はい、これですか」


妻夫木が取り出した腕輪を千秋は自分の腕に

通した。

周りにいた全員が「アッ」と叫んだが千秋は

ひるまない。

そのまま腕輪を手でさすると、腕輪はピタリ

千秋の腕の太さにまで縮んだ。


「えっ!」


妻夫木は目を剥いた。

自分で調整してしまった。

何者なんだ、千秋と言う女は。

前々から元木博士には言われていた。

栗原千秋の腕輪は調整できないかもしれないと。

規格サイズが大きすぎるから、妻夫木が開発し

た機械では、調整中に機械が爆発するかも知れ

ないと。


だからこそ、栗原千秋の腕輪の調整は一番最後

に回していたのだ。

それが、はめるなり、自分でレベルを調整して

しまった。

どんなメカニズムなんだ・・・


「さあ、早くメイサもはめなさい」


「いやよ私は」


「死んでもいいの!」


「なんではめないと死ぬのよ」


「起こるのよ、爆発が、地球上にあるすべての

 核爆弾が爆発するのよ」


頭の中で母がそう叫んでいる。


「嘘・・」


メイサが手で口をふさいだ。

全員が千秋を見ている。

妻夫木が唾を飲み込みながら


「どうしてその情報をご存じなのですか」


化け物を見る目付きで千秋を見た。


「早くはめなさい、メイサ!」


千秋は大声でメイサに命令した。


頭の中では母のカウントダウンが始まっていた。


「あと十分」


声は悲壮だ。

冗談でこんなことを言う母じゃない。

間違いなく地球上で核爆発が起きる。

地球全土を覆う規模の大爆発が。


メイサに無理やりはめた腕輪を、いとも簡単に

指先でレベル調整すると千秋は菜々緒を見た。


「シェルターは無いの、核爆発を回避できるシ

 ェルターが」


「どうして?」


「あと九分で核爆発が地球上のあらゆるところ

 で始まります、避難しないと私達は全員死に

 ます」


「どうしてそんな事がわかるの」


千秋は指先を部屋の片隅に向けると光線を

光らせた。

先ほど元木が発した光線と同じものだ。

爆発すら起きなかった。

一瞬無音という音が発せられ、壁が黒く変色す

ると、霧のように消え去った。


「これが私の力の一部、説明はこれだけで十分で

 しょ、今は避難の方が先です、とにかく避難場

 所を」


唖然とする菜々緒に千秋は迫った。


「早く、避難場所を言いなさい」


「こっちよ」


菜々緒は亜門とマーヤに目配せすると、走り始めた


「さあ、みなさんも後に続いて、時間がありません」






その8分後

地球は・・いや、地球上にあるすべての核爆弾が

爆発した。

それだけではない。

あらかじめ細工されていた人の核細胞が分裂融合し

核爆発を起こしたのだ。

その数数千万人。


地球の表面は一瞬のうちに瓦礫と化した。

すべての生き物は溶け失せ、いなくなった。

それは、瞬く間の出来事だった。

地球の表面は空気の代わりに、放射能が充満して

いる。

まさに破滅そのものだった。


人類の滅亡はすべての生物の滅亡でもあった。

    

         終わり



  第一章 地球滅亡編 終了

長い間読んでいただきありがとうございました。

今回をもって第一章を終了させていただきます


第二章につきましては、又新たな構想をひねり

近い未来掲載させていただく予定です。


あくまでも、予定ですが。


感謝、感謝でございます。


長い間拝読ありがとうございました。

第二章につきましては

今のところ掲載予定はありません


ご要望が多ければその気になると思いますが

今は他の作品に取り掛かりたいとおもっています


力量不足の作品でしたが

私的には大好きな作品の一つになりそうです


本当に長い間

ありがとうございました

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