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24話 逃げるわよ力也

幽厳村正は反乱軍を一網打尽にするつもりだ。

その反乱軍の一味が今千秋の目の前にいる。

別に反乱軍に肩入れするつもりはない。

ただ、あの幽厳村正だ。


反乱軍潰滅にどんな手を使うやもしれぬ。

結果残忍なる虐殺が行われるのは火を見るよ

りも明らかだ。


捕虜になったとしても幽厳が許すとは到底思

えない。

千秋が目を背けるあの拷問が、凌辱が、殺戮が

行われるのだ。


知っていて黙っていることは、自分もその一味

に加担している事となんら変わらない。


千秋は力也の肩を掴むと


「あんたが反乱軍だろうと、なかろうと私には

 関係ない、でもこの先起こる殺戮を黙って見

 逃すことはできない、力也、今すぐ反乱軍に

 連絡しなさい、後少しで、幽厳村正の手の者

 がアジトを襲うって」

「千秋、お前何言ってるんだ」

「いいから早く、連絡なさい、いいの、あなた

 仲間たちが、あいつらに殺されても」

「あいつら?」


力也は千秋の瞳で燃え盛る炎を見た。

あいつらとは、ハンターの事を指しているんだ。

何で千秋が幽厳が反乱軍のアジトを襲うことが

わかるんだ・・


疑心暗鬼の眼差しを千秋に向ける力也に


「愚図愚図しないで早く連絡しなさい」

「しかし・・」

「聞こえるのよ、ここから幽厳の話が」

「嘘だろ?」

「見たでしょ私が赤グールを一瞬で殺ったとこ

 ろを」

「あなたが反乱軍の一味だと知っててわざと幽

 厳は配下にしたのよ」

「・・・」

「反乱軍のアジトを見つけるために」

「・・・」

「でもアジトは見つかったからあなたは用無し、

 もうすぐ反乱軍のアジトと、ここに幽厳の手

 の者が来るわよ」


力也の瞳に微かな恐怖が芽生えてきた。

それは呼吸するたび、大きな恐怖へと変わって

行った。

どうやら、千秋の言ってる事を信じたようだ。


「本当なんだな、今の話」

「嘘でもこんな作り話できっこないでしょ」


力也は携帯を取り出すと、慌ててダイヤルし

ようとした。

それを千秋は止めると


「だめ、その携帯は使っちゃダメ、幽厳の話

 が本当なら、あなたの携帯は四六時中モニ

 ターされてるはずだわ」

「じゃあどうすればいいんだ」

「これを使いなさい」


千秋は自分の携帯を差し出した。


「しかし、これを使えば千秋おまえも」

「とにかく早く、早く連絡するのよ」


千秋に急き立てられ力也は、しばらく考えてい

たが千秋の携帯を使い、手短に反乱軍に今の話

を伝えた。


「じゃあ、行くわよ」

「どこへ?」

「言ったでしょ、ここにも私達を捕えに幽厳の

 手の者が来るって」

「千秋まで逃げる必要はないだろ?」

「目的はあたしなの!」


千秋は力也の肩に身を滑り込ませると、強引に

身体を持ち上げた。

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