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242話 車屋菜々緒

「あなた達、丸山の仲間なの?」


気が付けば一番後ろにいた千秋が前まで来て

いる。

力也は慌てて千秋の前に立った。


「ちょ、ちょっと、私の前から勝手にいなく

 ならないでよ」


メイサも千秋の後ろに移動した。

結局決めていたフォーメーションは役に立って

いない。


「丸山?」


女が首を傾げた。

どうやら丸山が襲ってきたことは、知らないら

しい。

しかし、女の視線は力也に釘づけだ。


千秋とメイサを時折見はするが、視線はいつの

間にか力也の所に戻っている。


「ゆりさんどうゆうことなの」


千秋の問いかけにゆりは笑ったままだ。

背の高い女が力也に興味を抱いて何も喋らなくな

ったのを見て、ハゲ頭の男が女の背中を叩いた。


「菜々緒さま、どうかされましたか」


「あ・・」


慌てて力也から目を離した菜々緒は


「ゆりさんはもう帰って、ごめんなさいね、こん

 なつまらない事頼んじゃって、元木に何か言わ

 れたら、私に脅迫されたから、嫌々手伝ったと

 言っておいて」


間違いなくゆりは元木博士の仲間だ。

とすれば、さきがさらわれた事件そのものがでっ

ち上げだと言う事になる。


それにしても何なんだ。

丸山と言い、この菜々緒といい。

元木一派はもう、バラバラじゃないか。


千秋は耳を触った。

母と別れる前、用があれば耳を触りなさいと言

っていたからだ。

周りに敵がいなければ出てくると言っていたが

いくら耳を触っても、母の声は聞こえない。

敵に囲まれ、出て来られないのだろうか。


菜々緒に言われ、ゆりが闇の中に消え失せると

三人はこちらを睨んだ。


「さてと」


それにしても菜々緒は力也を気にしすぎだ。

視線が力也に移動ばかりしている。

菜々緒の仲間二人も菜々緒の異変に気付いたのか

多少戸惑っているようだ。


「丸山って、丸山智己の事?」


菜々緒が力也から千秋に視線を移した。

リーダーが千秋だと見切ったからだろう。


「そうよ」


「丸山が何しに来たの?」


「あなた達と同じなんでしょ目的が」


「うん?」


菜々緒は禿げ頭を見た。


「源兵?どうゆうこと」


「おい女、丸山はどうなったんだ」


禿げ頭の男は源兵というらしい。

初老の男だが、身体の分厚さが半端ない。

力也を一回り大きくしたような体つきだ。


千秋をギロリと睨んでいる。


「逃げたわよ」


「逃げた」


又菜々緒と源兵が目を合わせた。


「嘘を申すでない。あの男が敵に背を向けて逃げ

 る玉じゃない」


「でも逃げて行ったんだから、しょうがないでし

 ょ。嘘と思うなら直接丸山に聞いてみたら」


「篠原雪か」


源兵が呟いた。

どうやら雪が丸山をやっつけたと、勝手に思い

込んだらしい。


「雪さんは関係ないわよ」


千秋の言葉に、腕組みし今まで黙っていた男が

ゆっくり近づいてきた。


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