241話 現れた新しい敵
伏せた三人の頭の上を大きな石が飛んで行った。
落下した石の音を聞きながら、三人は素早く立
ち上がると戦闘態勢を取った。
力也が先頭、少し後ろにメイサ、最後尾に千秋
と。
決めていたフォーメーションだ。
目の前には三人の男女が立っていた。
一人は大男。
頭は綺麗にそり上げている。
その横にはゆりが立っていた。
剃り頭の男がゆりを守っている態だ。
「私達はめられたみたい?」
メイサが千秋に言った。
「どうゆう事だよ」
未だ状態が飲み込めない力也に
「ゆりさんを使って私達をおびき出したみたい
よ、彼ら」
「罠だって言うのか」
力也もやっと状態を飲み込んだようだ。
ゆりの横には、華奢な体つきだが、背が異様
に高く目つきの鋭い着物の姿の女が立ってお
り、その横にも小柄で細く、未だ未成年では
ないかと思われる学生風の男が腕を組んでい
た。
「三人もいるわよ。もう嫌!」
涙声のメイサに
「こっちも三人、丁度いいじゃないか」
「馬鹿、向こうはゆりさん入れたら四人じゃん、
それに力也は私と千秋を守ってくれるんでし
ょ、一人で四人も相手にできるの」
メイサは完全に力也の背に隠れた。
戦う気は全くないらしい。
「まだ向こうが敵だと決まったわけじゃないぞ」
「あんな大きな石を投げてくる連中が味方なわ
けないでしょ」
千秋が二人の頭を下げてくれなければ石はもろ
に当たっていた。
「そりゃ言えてるな」
力也は頭を掻いた。
しかし目は笑ってる。
敵が来ると嬉しくなる体質は相変わらずだ。
「千秋、どうする」
前方の四人を見据えたまま力也は尋ねた。
結局千秋が三人のリーダーになってしまって
いる。
「三人も釣れたから、ゆりさん立派」
背の高い華奢な女がゆりに笑いかけた。
ゆりもニコリと微笑みを返した。
どうやらゆりは、間違いなく敵側だ。




