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240話 みんな伏せて

「あら、ここ外じゃないの」


メイサもようやく外へ出たことに気付いたよ

うだ。

千秋はかいつまんで、メイサに現状を説明し

た。


「じゃあ、すぐに追わないと」


状況がわかると行動は素早い。

メイサは昔から即決主義がもっとうの女だ。

ウダウダ考える前に行動に移している。


力也から携帯を取り上げると、すぐさま歩き

始めた。


「おい、おい、待てよ」


力也も慌ててその後を追った。

五分ほど速足で進むと、ゆりにすぐ追いついた。


「ちょっと待って、これ以上近づくと感づかれ

 るわ」


「感づくも何も止めないといけないんじゃな

 いのか」


力也の問いかけに


「馬鹿ねえ、隠し扉まで使って出たのよ、ゆり

 さんが私達の味方かどうかわからないでしょ」


いつものメイサに戻ったのだろう。

的を射た答えを力也に投げ返した。


「そんな、ゆりさんが味方じゃなきゃ、俺達が元

 木の研究所に行く意味がないじゃないか」


「いいえ、私もメイサの意見に賛成よ。ゆりさん

 がどこに行こうとしているのか、それを確認す

 る必要があると思うわ」


千秋もメイサの意見に賛同した。

なにか出来事がちぐはぐなのだ。

今ではそもそも雪が味方かどうかもわからない。


「千秋がそう言うなら、俺も従うが」


「何よそれ、私の意見には従えないと言うの」


「ち、違うよ、そう言うわけじゃないよ」


力也は慌てて千秋の陰に隠れた。

千秋の背中越しに


「メイサの意見にも従うよ」


恐る恐る言った。


「も、とはなによ、も、とは」


「だから・・・」


「あら」


突然メイサが携帯を見て叫んだ。


「どうしたの?」


千秋が訝しむと


「消えちゃったの」


「消えたって?」


「ゆいさんの信号が消えてしまったの」


「嘘だろ」


力也がメイサから携帯を取り上げ画面を見た。


「本当だ、信号が完全に消えてる」


「どうゆう事?」


首をひねった千秋の全身に、突然とてつもな

い殺気が走った。


「みんな、伏せて!」


千秋は二人の頭を掴むと思い切り地面に押し下

げた。

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