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233話 隠す?

「死ぬ間際まで傷ついた後、回復すると、一部

 の記憶が飛んでしまうことがあるの」


雪が藤木ではなく、千秋に説明した。

瀕死の重傷を負った藤木を回復させたのが千秋

であることは間違いない。

何らかの理由で千秋は、雪以上の回復術を会得

したのだろう。

しかし、それはあくまでも回復術だけと雪は思

っていた。

それより問題は、何故その事を正直に言わない

のか、その事の方が雪には引っかかっていた。


それと、自分がかけていたサーチ禁止のバリアに

千秋が引っかかったことも気になる。


千秋は丸山と、どんなことを話し、何故逃がし

たのだろう。

いや、逃がしたと言う表現はおかしい。

丸山と千秋の実力差は雲泥の差だ。

千秋が丸山に勝てる要素は、一ミリもない。


千秋が強くなった事をしらない雪は、丸山が何

らかの思惑があって千秋と藤木を生かして帰っ

たと思っていた。


ひょっとしたら千秋は丸山に取り込まれたのか

そんな疑惑も感じるが、目の前の千秋を見れば

そんな素振りは欠片かけらも感じられない。

むしろ、神々(こうごう)しくさえ見える。

何かが起きたことはわかるが、それが何かはさ

すがに雪の思惑の範疇を超えていた。


「千秋ちゃんは大丈夫なの」


「私は平気、言ったでしょ、私を見たら丸山っ

 て人突然逃げちゃったから」


「へー、何なんだろうな、わざわざここを襲っ

 ておいて、逃げ出すなんて」


藤木は千秋の言葉を疑いすら持っていない。

丸山に殺られ、死ぬ直前千秋に助けられ、その

後丸山に再度戦いを挑んだのだが、それを千秋

に止められ、挙げ句に千秋に気絶させられたと

ころの記憶はすっかり飛んでいた。


「でも千秋ちゃん、あなたにはメイサさん達の

 警護をお願いしていたはずよ」


「そうだ、千秋さん、どうしてここに?」


「気になったの、私だけのんびりしてるのは嫌

 だし」


「のんびりじゃないでしょ、メイサさん達に何

 かがあったら」


雪の強い口調に


「大丈夫です、メイサ達はわからないところに

 隠してきましたから」


「隠す?」


雪は首を傾げた。

研究室に二人を隠せるところなど無かったはずだ。

藤木も同じ気持ちなんだろう。

目を空にあげ思い当たるところを考えているようだ。


その時廊下から大きな足音が響いてきた。

力也がドタドタと大股で走って来た。

その後ろには、まだ頭を振りながら、メイサが続

いている。


「おう」


千秋の姿を見つけると、力也はフット肩の力を落

とした。

千秋が心配で心配で、メイサの「待って」の言葉

を振り払うように駆けだしてきたのだ。

千秋に「よかった」と微笑み肩を抱こうとするのを

邪慳に振り払われ、しょぼんとした。


血だらけの雪の姿を見、メイサが目をこすりながら



「何かあったの?」


誰とは無しに聞いてきた。

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