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228話 正直に言うわ

「何故俺を助けた」


丸山からは完全に戦意が失せていた。

下卑た顔はしているがそこから悪意は感じられ

ない。

千秋には分かっていた。

丸山は間違いなく幽厳村正に操られていた。

丸山を回復した時、幽厳村正の意識が、こっそ

り逃げて行くのを感じ取れていたのだ。


丸山がここまで悪意の固まりになれたのも、

幽厳村正の仕業だと思って間違いない。


幽玄がいつからあんな(化け物)だったか千秋

には分からない。ただハンターアカデミーに入

学した時背後に時折視線を感じていた。

その視線の主が幽厳村正であるなら、千秋が入

所したその時から既に幽厳村正は化け物であっ

た可能性はある。


「何故答えない」


千秋が黙ったままなので、丸山はさらに続けた。


「俺はお前や、そいつを殺そうとしていたんだぞ」


床で休む藤木を顎で示した。

藤木は軽い寝息をたて休んでいる。

丸山に戦いを挑もうとして、千秋が無理やり気絶

させたのだ。


「あなたは幽厳村正に操られていたのよ、あなた

 は藤木さんの事を憎んではいない、昔から藤木

 さんを守ってくれていた、それはあなたの意識

 をスキャンしてはっきりわかったわ」


千秋は丸山のスキャンした記憶を読み解き、丸山

の(無骨さを)読みとっていた。

千秋がいじめられていた頃、姉や両親が持ってい

たあの歯がゆさを、丸山も持っていたのだ。


藤木の意識を変えたい、虐められれば、虐め返せ

よ、それが強さであり、対策でもあるんだと、

丸山なりの解決策を導き、敢えて藤木に辛く当た

っていただけなのだ。

無骨と言うしかない。

善意の空回りが、藤木に憎しみを増させ、いよい

よ丸山との距離を広げていったのだ。


「藤木を守っていた、ははは、笑わせるなよ、

 藤木は俺の事を殺したいくらい憎んでいるはず

 だ」


「言ったでしょ、私はあなたの心をスキャンした

 と」


「ふん、じゃあ、そうだとして、改めて聞く、何

 故俺を助けた」


しばらく考えていた千秋は、意を決したのか


「じゃあ、正直に言うわ」


「?」


「この先あなたの力が必要になる事が起きるはず

 なの、その時助けて欲しいの、私や藤木さんを」


丸山は目を細めた。

首を少し傾け唇を舐めると


「幽厳村正と同じことを言うよな、お前も、何な

 んだ、一体何が起こると言うんだ」

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