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224話 凄い能力

「お前が色んな奴に目を付けられている理由が

 わかるか」


ミトコンドリア千秋が囁いた。


確かに千秋は何故か今注目を浴びている。

伊集院博士、これから会いに行く元木博士、

それに薄気味悪くなった幽厳村正にも色々ちょ

っかいをかけられてくる。

その理由が何なのか、千秋にわかるはずが無い。


「わかりっこないでしょ」


「お前が特殊だからだ」


「ちょっと聞いてイイ」


千秋はミトコンドリア千秋の話を止めた。


「あんた、言ってみれば私のミトコンドリアなん

 でしょ、私が知らない事を、私であるあんたが

 何故色んな情報を知っているのよ」


ミトコンドリア千秋は薄ら笑いを浮かべると


「なるほど、もっともな疑問だ。それはな、お前

 が色んな奴らに興味を持たれる原因さえわかれ

 ば、わかるはずだ」


意味深な言葉でかわす。


「お前の特殊性はな、さっきいったけい

 も上るミトコンドリアすべてに特殊核が存在し

 ている事だ」


「なあに?それ」


「普通S級グール化しても、特殊核を持つミトコ

 ンドリアは数個、多くても数十個にしかならな

 い。ミトコンドリア自体はただの、言ってみれ

 ば細胞だ。ところがお前は全てのミトコンドリ

 アが特殊化した存在なんだ」


「それとあんたが、そんな情報を知ってる事と、

 どんな関係があるの?」


「言ったろうが、私はお前の脳の一部であるミト

 コンドリアだと」


「だから何よ」


ミトコンドリア千秋が何を言おうとしているのか

千秋にはさっぱりわからない。


「私には相手の気持ちを吸い取る能力がある」


「えっ?」


ひょっとして・・・


「そうだ、私にはお前が考えている事が全て手に取

 るようにわかる、まあ、私はお前なんだから当然

 と言えば当然なんだが。お前以外の生き物でもわ

 かる能力だ」


「おかしいじゃない。あなたは私の事がわかるのに、

 私にはあなたの事がわからない」


「私はお前の一部ではあるが、私自身の核も持って

 いる。最も、もう私はお前の軍門に下った。だか

 らこれからはお前は私の能力を自分の物として使

 える」


「もっと具体的に教えてよ」


「知りたい相手と、肉体のどこかを接触させれば、

 相手の拒否反応にもよるが、思惟を読み取るこ

 とができる」


「凄いじゃないの、それ」


「お前にはこんな能力がけい個も潜在的に眠

 っているのだ、いわば人間が持ちうる最大の能力

 を、やり方次第では全て開花させる資質があると

 いうことだ」


「それって・・・」


千秋は口をつぐんだ。

わざわざ話さずとも、思うだけでミトコンドリア千秋

は千秋の思惟を理解する。

ならば・・・・


「残念だが、私が今まで吸い取った思惟は、お前の

 軍門に下る事により、リセットされる。私が私個

 人の資質で得た情報は、お前の人格を破壊する恐

 れがあるから、全てがクリアされ、能力だけがお

 前の中に組み込まれる。これは全ての異種ミトコ

 ンドリアについても同じだ」


今までミトコンドリア千秋が吸い取ってきた情報が

千秋に流れてくるのかと思った疑問に答えてくれた

のだ。

「ふー」


千秋は大きくため息を吐いた。

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