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214話 腹に突き刺さった丸山の手

丸山が千秋に襲い掛かろうとした時、藤木の

意識が戻った。


藤木は丸山が千秋に襲い掛かるのを見ると、

慌てて起き上がり、両手を合わせ何かを呟

いた。

すると藤木の体がぐにゃりと溶け液状になる

と、ふわり空に浮かび、丸山に近づきそのま

ま丸山の身体を包み込んだ。


「早く助けなさい、あなたの恋人は相打ちにも

 っていこうとしているわよ」


千秋の頭の中で、母の声が響いた。

強い口調だ。


相打ち?

藤木は液状になりべっとり丸山の身体にまと

わりついていた。


この態勢は、自爆する気か・・・


千秋に戦慄が走った。

間違いない。

藤木はあのまま、丸山もろとも自爆しようと

しているのだ。


冗談じゃない。

そんなことをさせてたまるか。

そんなために回復させたんじゃない。


千秋は液状化した藤木の身体の一部を掴むと

思い切り引きはがした。

滑り落ちた藤木の身体を、無意識のうちに凍

らせるとそれを廊下の隅に蹴飛ばした。


「ん?」


藤木を剥し、一瞬のうちに凍らせてしまった

千秋の能力に驚きはした丸山だったが、凍っ

たまま廊下の隅に転がされた藤木を庇う様に

立つ千秋を見つめ、一人頷いた。


「ほう、あの色男を救いたいのか、馬鹿な女だ、

 いくら殺すなと言うあいつの頼みでも、目の

 前でこうもいちゃつかれると、むかつくわな」


「殺すな?・・・あの男って誰の事よ!」


「お前には関係ない」


呟きと同時に丸山の両手が伸びると、千秋の腹

に突き刺さった。

一瞬の動作だ。

かわす暇すらない。


「ぐっ」


千秋の顔が歪むのを、丸山は恍惚の表情で眺めた。

藤木を半死にしたと同じ技だ。


一気に千秋の腹から血が吹き出した。


「良い気持ちだ、この生暖かい感触、やはり男よ

 り女の方がいいよな」


丸山は突き刺した千秋の腹の中を両手でぐりぐり

と掻きまわした。

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