表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/253

210話 遅い、遅い、遅すぎるよ、お前は

「俺様の戦い方を知ってるだって」


丸山の瞳は赤く光っている。

藤木への攻撃をかわされ多少驚いているようだ。


「少し貴様を見くびっていたようだな。赤子の

 手をひねる程度に考えていたが、やれやれだ」


丸山がまた消えた。

目の前に丸山の気配を感じ藤木は慌てて壁際か

ら離れた。

その背後に丸山が張り付いてきた。

臭い息を藤木に吐きかけると


「遅い、遅い、遅すぎるよ、お前は」


激痛が走った。

丸山が二本の腕を背後から突き刺さしてきた

のだ。


「腕ごと突き刺すとは・・」


強烈な痛みが全身を襲った。

意識を保つのがやっとだ。

剥がれようとするが、内臓をわしづかみされ動

くことができない。

無理に動けば内臓を全て外に持って行かれてし

まう。

いくらグールでも、ここまでされれば再生に時

間がかかってしまう。

それに出血の量も半端ではない。

血液が無くなれば、身体それ自体を動かすこと

が出来なくなり気の消滅と同時に核も消滅する。


「俺が背後に回って攻撃するのはな」


話ながら、藤木の内臓を手で引きちぎっている。


「こうして全身で感じたいからなんだよ、死にゆ

 く者の断末魔の感触をな」


いきなり、藤木の耳を噛みちぎった。


「う、ぐぐ」


藤木は動くことができない。

動けばそれが最後となる。

動かなければ、それもまた最後になる。


こんなにも差があるのか。

何なんだ。

丸山のこのとてつもない強さは。

一瞬だ。

攻撃も防御も関係ない。

数秒で勝負がついてしまった。


「おいおい、いじめられっこちゃんよ、もう少し

 楽しませてくれると思ったんだが、なんだよ、

 この弱さは」


残りの耳を又、噛み切った。


突然丸山が藤木から離れた。

床に崩れ落ちながら消えゆく意識の中で藤木は

見た。

頭を切り落とされた丸山の胴体の向こうに立っ

ている栗原千秋の姿を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ