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206話 殺るしかない

「どうゆう事なんだ」


藤木は丸山を睨みつけながら壁に背を当てた。

丸山は平気で背後から襲ってくる。

そう奴なんだ昔から、この男は。


「女二人を引き渡せば美味しい物がもらえると

 、そうゆう話なんだよ、いじめられっ子ちゃ

 ん」


藤木もいじめられていたんだ。

だからこそ、千秋がいじめられている現場を見

過ごすことができなかったんだ。


千秋はもう一度胸のネックレスを握りしめた。


「美味しい物?一体誰と取引をしたんだ」


「そんな事お前には必要ない。ここで死ぬんだ

 からな」


「雪さんを避け、わざわざ私の所に来た理由は

 ・・・」


藤木には丸山の考えが読めた。

丸山が言う、物とは、千秋とメイサ以外に雪も

入っているはずだ。

伊集院博士が言っていた。

「あの三人は特別だ」と。

元木博士も千秋とメイサを連れてくるのに必ず

雪も一緒だと条件を出していた。


三人の女性。

いったい彼女らにはどんな秘密が隠されているの

だ。


丸山の思惑はこうだろう。

二手に分かれ、まず邪魔な藤木を丸山が抹殺する。

その間に四十人のグールが雪を襲う。

あの四十人のグールはおそらくS級ではあるがあ

まり強いグールではないはずだ。

もし間違って雪を殺してしまっては元も子もない。

雪を弱らせ、捕獲することが目的のはず。


丸山の力なら雪を殺すことはできるだろう。

しかし、捕獲となると難しい。

だから弱らせる必要があったのだ。


雪はメイサの訓練でフラフラだ。

しかし、四十人といえど、普通のS級グールなら

何とかするはずだ。

しかし、その後丸山と戦うとすれば・・・


いけない。

とにかく自分がこの丸山を殺らなければ。

いや、それは難しいかもしれない。

しかし、丸山の力を削ぐことはできるはずだ。

雪が戦う時、少なくとも善戦ができる程度には

丸山を弱らせる必要がある。


ゴクリ

藤木は喉を鳴らした。

殺るしかない。

何をしても、どんな手をつかっても丸山を殺る

しかない。


殺るしかないのだ!

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