198話 侵入者あり
突然威嚇ブザーが鳴動した。
併せて放送が建物内に響き渡った。
「侵入者あり、侵入者あり」
雪と藤木が目を合わせた。
二人とも首をひねっている。
思い当たることがないのだろう。
再び威嚇放送が激しく鳴らされてくる。
どうやら訓練ではなさそうだ。
藤木は携帯で情報を集めている。
雪は立ち上がり考え込んでいる。
千秋は呆然とするしかなかった。
メイサも力也も眠ったままだ。
携帯を切った藤木に
「状況は」
「襲撃者の数は四十程。どうやら敵の襲撃みた
いです」
「味方の人数は?」
「私達を除けば六名です。敵は建物の周りを取
り囲んでいますが、状況から推察すると襲っ
てくるようだと言ってます」
元々閉鎖されていた訓練所だ。
千秋達が訓練するため急いで開けただけだから
人数も少ない。
敵はそこを見越して襲ってきたのだろう。
「この建物の入り口は二か所だったわね」
「はい」
藤木が頷くのを見て
「元木博士の一派だと思うけど、何故襲って
きたのかわからないわね」
「明日訪問すると言うのに、何故わざわざ襲っ
てくるなんて意味がわかりません」
「元木博士の意向ではなさそうね」
「向こうも一枚岩ではありませんからね」
(向こう?)
藤木の言葉に千秋は違和感を覚えた。
向こうも一枚岩では無いと言う事は、こちらも
一枚岩ではないということじゃないか?
意味が分からない・・・
千秋は雪を見たが、雪は方針が決まったのか
藤木を見ると
「藤木君は右手の入り口を、私は左に行きます」
「六名の配置は?」
「今いる場所で待機するよう言ってちょうだい」
「じゃあ、私達だけで」
「六名は邪魔になるだけだわ」
雪の言ってる事が理解できたのが藤木は何度も
頷くとフッとその場からいなくなった。




