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195話 母の存在

雪は藤木に力也の訓練をするよう、しつこく言

う。

藤木にすればメイサの訓練を見たその後で大丈

夫だから「やれ」と言われても、中々できるも

のではない。

第一メインで訓練をするなど、未だかってした

ことがない。訓練は雪か伊集院博士かそのどち

らかでしかしてこなかった。


「しなさい」「無理です」の応酬の末、とうと

う雪が切れた。


「これは命令です」


「しかし」


「しかしもくそもありません。時間が無いんで

 す。明日は元木博士に会いに行くんです。そ

 れまでに全員ミトコンドリアを取り込んで行

 かないといけないんですから」


「全員って私も?」


反射的に聞いた千秋に


「当然ですよね、雪さん」


後二人も自分ができるわけないと藤木が雪に

促した。


「千秋ちゃんはしなくていいのよ」


雪は当たり前のように言う。


「しなくていいと言うよりできないといった方が

 適切かも」


「どうゆう意味ですか」


「千秋ちゃんはメイサさんと同じ、いえそれ

 以上の個性的なミトコンドリアを持っている

 可能性があるの。そんな千秋ちゃんの訓練、

 もしもの事考えたらさすがに私でも今すぐは

 できないわ」


「雪さんでも無理と言うわけですか」


驚く藤木に


「それとね、敢えて危険を冒さなくても千秋

 ちゃんの異種ミトコンドリアは千秋ちゃん

 自身でどうにかできるんじゃないかと」


雪は千秋に微笑んだ。

私の言いたいこと、わかっているでしょうと

言う顔だ。


「正直な話、私一人では千秋ちゃんの異種ミト

 コンドリアが暴走したら止める手立てがない、

 それならば千秋ちゃん自身に任せた方が安全

 なんじゃないかと」


力也と藤木の表情が曇るのを見て


「あ、違うのよ、千秋ちゃんにはもっと特別な助

 っ人がいるんじゃないかと、そんな気がするか

 ら、千秋ちゃんは、自身で対応した方がいいのじ

 ゃないかと」


「特別な助っ人?」


力也と藤木はポカーンとしている。


千秋は母を思い出した。

確かに自分の(心の核)には母がいる。

それはもう確信だ。間違いなくいる。

先日の半魚人との戦いではっきりした。


千秋の意識から母を呼び出すことはできないが、

母は突然千秋がピンチに陥った時現れてくれる。

異種ミトコンドリアの件も、もし千秋に災いが

及ぶような事になれば母が助けてくれる予感は

千秋も持っていた。


ひょっとしたら雪は母の存在を知っているので

はないのか・・・


千秋は慌てて雪の視線を逸らすと立ち上がった。

今ここで母の話はしたくない。

雪に話すのがなんとなく躊躇われたのだ。

それは母の意志なのかもしれない。


「じゃあ、力也の訓練始めましょうか」


まさか千秋からそんな発言を聞くとは思わなか

った藤木は、ウソだろうという表情で雪に助け

を求めた。

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