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192話 妙にハモっている

千秋も疲れているが雪の疲れも相当ひどいよう

だ。

藤木が差し出した椅子に腰を下ろし全身ぐった

りとしている。

訓練というより、メイサの訓練は、完全に事件

だ。

事件を収拾するために、千秋と雪が奔走したと

いう方が適切な表現だ。


それは藤木の(呆れた)顔を見れば千秋にもわ

かる。

この訓練は藤木が最初言ったように、(やり過

ぎ)だ。

訓練の枠を大きく逸脱している。

これに懲りてさすがにもう訓練をしようとはし

ないだろうと思った千秋の予想に反し


「彼の訓練は藤木君、君がしてあげて」


雪が力也を指さし、平然と言い放った。


「えっ!」


千秋と、藤木と、力也が同時に呻いた。

妙にハモっている。


「ダメよ」と千秋


「無理です」と藤木


「俺男は嫌だよ」と力也。


「何よあなた達」


雪は苦笑をしつつ


「千秋ちゃん、大丈夫よ。力也君の訓練はメ

 イサさんみたいにはならないから」


「どうしてそう言い切れるのですか」


唇を尖らす千秋に


「彼の異種ミトコンドリアはもうすでに彼が

 掌握しているから」


「どうしてそう言い切れるのですか」


「彼怒ると紫の陽炎出すでしょ」


「ええ」


「あれができる事こそ異種ミトコンドリアを掌

 握してる証拠なの」


「じゃあ、訓練なんか必要ないじゃないの」


もっともな質問だ。


「元々この訓練は異種ミトコンドリアを取り込

 んだ分子レベルの序列変更作業の側面がメイ

 ンなの。つまり、力也君の力の制御をもっと

 使いやすくするために行う訓練と思ってもら

 えばいいのよ」


「じゃあ、俺は訓練してもそんなに強くならな

 いってことなのか」


力也にとっては死活問題だ。

力こそが力也の行動の源なのだから。


「そんなことは無いわよ、配列を綺麗に整える

 ことで、強さは何倍、何十倍も強くなるわよ」


「何十倍」


力也の顔がほころんだ。


「雪さんに訓練をやってもらうってことは」


千秋が拳固を作り口に当てている姿を見ると

力也は慌てて


「あ、、いいすよね。彼で、男の方が、こう、

 まあ、遠慮なく訓練できるし」


力也は藤木の前に歩み寄ると

 

「よろしく」


と手を差し出した。


「で・・でも」


藤木は雪を仰ぎ見た。

どうやら訓練をためらっているようだ。

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