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189話 私の身体に気安く触るんじゃない

千秋はうっすら目を開けた。

身体中がギシギシする。

頭もズキズキ痛い。


ぼやけた視界の中に見慣れた力也の心配そう

な顔が浮かんできた。

力也の顔は千秋の真近だ。

まるでキスをされるような近さだ。


「ぎゃー」


千秋は思い切り力也を弾き飛ばした。


「痛て・・」


壁まで吹っ飛ばされた力也は、腰をさすりな

がら立ち上がるとそれでも顔をくしゃくしゃ

にして又、千秋の元に駆けよって来た。


雪を見ながら


「もう大丈夫なんですよね、千秋」


頷く雪を見ると


「馬鹿野郎、千秋、心配さすなよ、お前一時

 心臓停まってたんだぞ」


「私が?」


思い出しメイサを探した。

メイサがいない。

辺りを見渡してもメイサの姿が見当たらない

のだ。

藤木の姿も見当たらない。

メイサは死んでしまったのか・・・


雪を見れば、顔を振り、部屋の向こうを見るよう

笑っている。

見れば藤木がベッドに寝かせられたメイサに注射

を打っている。


「メイサは」


「大丈夫よ、今藤木君が栄養剤入れているから、

 少し眠ればすぐ元気になるはずよ」


「じゃあ、異種ミトコンドリアも」


「ちゃんと、一種類だけだけど、取り込むこと

 に成功したわ」


「一種類だけ?」


気になる言葉だけど、そんな千秋に


「馬鹿野郎、人の心配する前に自分の身体気づかえ

 や。お前五分近く心臓停まったままだったんだぞ、

 大丈夫か、脳細胞は壊れていないか」


「力也に私の脳細胞心配されるいわれないし、それ

 に少々おバカになったところで、力也程空っぽに

 はなりません」


どうやら本気で怒ったメイサに、危うく殺されかけ

るところだったらしい。


「ほれ、立って、どこかおかしいところないか、

 確認してみろってばさ」


やたら千秋の身体に触れる力也に


「やめなさい。私の身体に気安く触るんじゃない!」


力也の動きが固まった。


「うふふ、どうやら千秋ちゃんも大丈夫なようね」


雪がポンと力也の肩を叩き、部屋から出て行った。

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