187話 勝負よ、私と勝負なさい
メイサはうずくまっていた。
膝を抱え、丸く丸く、真丸くうずくまっていた。
「メイサ」
近づこうとするとメイサの身体から赤い炎が噴
出した。
拒んでいる。
千秋を拒んでいる。
「メイサなにしているのよ」
「・・・」
「メイサってば」
近づくと、赤い炎が千秋を遮断する。
熱くはないが、痛い炎だ。
触れると、千秋の身体がピリピリする。
「もう、いい加減になさい」
千秋は痛みをこらえ、メイサの身体を掴んだ。
掴んだ手首が炎に包まれると炎ごと弾かれた。
掴めば、弾き、弾かれても又掴む。
埒があかない。
「メイサ!」
辛抱たまらず、千秋が、メイサを無理やり抱
き上げれば、いきなり大口を開けたメイサが
千秋の頭を丸ごと飲み込んだ。
「馬鹿の一つ覚えみたいに、それしかできないの」
千秋は全身に力を込めると、メイサの口を破壊し
た。
粉々になったメイサの口の部分は、小さな分子と
なり浮遊したが、やがてまた直ぐ一つの固まりに
戻った。
「あんた、私を憐れんでいるでしょう」
「何戯言言ってるのよ、今はそんな事言ってる場
合じゃないでしょ」
「戯言じゃないわ、千秋にはわからないのよ、弱
い人間の心の内が」
「私よりメイサの方が強かったじゃない、何を訳
のわからない事言ってるのよ」
「放しなさい!」
メイサの肩に手をかけた千秋の腕を、メイサは
思い切り振り払った。
「勝負よ、私と勝負なさい」
メイサは腕を銃に変えると銃口を千秋に向けた。
「もとはと言えばあんたが悪いのよ、私がこうな
ったのは、全部、千秋のせいなんだから」
メイサはいきなり銃を乱射した。
千秋は思いきり空中に飛び上がると、弾をかわし
たが、弾は千秋に引きずられるように全て千秋に
被弾した。
弾は千秋の体の中で粉々に爆発すると、千秋を内
部から攻撃した。




