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184話 メイサは死んでいるのだから

異種ミトコンドリアはメイサの銃弾で粉々に

粉砕された。それと同時にメイサの自我も崩

れ落ちた。


これを死と言う。

メイサは自分で自分を殺したことになる。


ピクリとも動かないメイサを見ながら雪は腕組

みをしている。

いつの間にか、藤木と力也も部屋の中に入って

きている。


ぐったりしたメイサと雪を見ながら藤木の顔色

も青い。

千秋はメイサの手を握りうずくまったままだ。


「藤木君、時間はどれくらい」


「もって最大三十分かと」


「千秋ちゃん、メイサさんを探してきて」


「探すって?」


「彼女、自分のミトコンドリアを処分したこと

 で動転し、殻に閉じこもってしまったみたい、

 探し出してきて」


「探し出すって・・どうやって」


脈の無くなったメイサに死を意識したのか、千

秋の瞼には涙が溢れていた。


「メイサさんの意識に潜り込めるのは千秋ちゃ

 んしかいないの。さっきメイサさんとシンク

 ロしたと同じように入り込めばいいのよ」


「入り込むって、メイサ脈が無いのよ。意識の

 無いメイサにどうやって入り込めと」


千秋がメイサとシンクロできたのはメイサに意

識があったからだ。

脈の無くなったメイサにシンクロなどできない。


「入り口は私がこじ開けるわ」


雪はメイサの腕を持ち上げた、


「でも雪さんはメイサに弾かれたでしょ」


「あの時はメイサさんの意識があったから。今

 は大丈夫、だから」


雪はいきなりメイサの腕を切り割いた。

吹き出した赤い血が雪の顔にまで飛び散ると

たまらず力也が飛び出そうとしたが、それを

藤木が羽交い絞めで止めた。


「放せ馬鹿野郎、メイサを切りやがった」


雪は力也の罵声を無視すると、切り割いた腕の

傷口に自分の指先を突っ込んだ。

突っ込まれた指先から眩い光線が発せられた。


「さあ早く、シンクロなさい、私の気力もそう

 は持たないわ、早くして」


千秋は力也を止めている藤木を見た。

藤木も早く行けと目で合図している。

意味が分からないがとにかく何もしなければメイ

サが死ぬのはわかっている。いや脈が無いのだか

らもう死んでいると言っても過言ではない。


ならばやるしかないだろう。

どのみちメイサは死んでいるのだから。

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