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182話 シンクロ

「わかったわ」


千秋がうなずいた。

どうやら方法は雪からレクチャーされている

ようだ。


「まず、深呼吸をして心を落ち着けてくれる」


「もう落ち着いてるわよ」


「いいから言われた通りなさい!」


「そんなに怒らなくても」


メイサはゆっくり深呼吸をした。

ゆっくり、ゆっくりと。


「見えない?」


心が落ち着いてきたころ、千秋の声が響いた。


「何が?」


「どこかに光る点が見えない?」


「光る物、光る物・・・


メイサは意識をまさぐり、言われた通り光

を探した。

あった、あった、確かに

斜め前方に白く、光り輝く光源がある。


「あったわ」


「じゃあ、それに向かって進んでくれる」


「いいわ」


メイサは光源に向かい歩きはじめた。

そこに、また異種ミトコンドリアがあの、ぬめっ

た体を現した。


「なんであんたが現れるのよ」


「メイサ、いいの、これでいいの、今メイサの前

 に現れたのが本物のあなたの異種ミトコンドリ

 ア、今までのは余興よ。これからが本番」


「どうゆうことよ・・・」


「今から思惑の固まりを送るわ、受け取りなさい」


突然頭の中が錯乱した。

上下左右、方向感覚がまるでなくなると、いくつ

もの言葉の羅列が蛇のようにとぐろを巻きメイサ

に入り込んできた。それは一瞬だった。すべてが

合点できたのだ。


「なるほど、そうゆうことね」


今メイサがしている事の説明が、まるごと固まり

となってメイサの意識を駆け巡ったのだ。

理解したというより、わかってしまったという確

信に満ちた概念だ。


「凄い、これがシンクロって事なのね」


「私達のシンクロはこれで終了。これで勝は決

 まったものよ」


千秋にも自分達の力がどれほど強くなったのか

わかるようだ。


「感心している暇はないわ、異種ミトコンドリア

 は今度は本気でメイサを止めに来るわ、でも今

 のメイサならもう大丈夫、でもいい、わかって

 いると思うけど、殺しちゃだめよ、そのミトコ

 ンドリアはメイサの核の一部だってこと忘れち

 ゃだめよ」


言うと、千秋の意識がスーと消えた。

どうやらシンクロタイムは終わったようだ。


メイサは深く息を吐くと唇を舐めた。


「やってやろうじゃないか」

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