179話 こ・・殺してやる、あんたなんか
「やめなさいよ」
いつの間にかメイサが立ち上がり自分の腕を
咥えられた千秋の首に添えていた。
銃に変えられていた手首は食いちぎられそう
だった千秋の首を守り、かろうじて引きちぎ
られるのを防いでいた。
「ぺっ!」
千秋を吐き出すと異種ミトコンドリアはその
姿を又千秋に変えた。
「なんでまた、千秋になんか変身するのよ」
「お前がこの女を攻撃できないからだ」
「ばっかじゃないの。あんたが千秋で無いこと
がわかったら、姿なんて関係ないわよ」
メイサは銃を乱射した。
「ほー」
異種ミトコンドリアは弾をよけると、今度は姿
をメイサに変えた。
「今度は私に?あんた何してんのよ、ホント、
ばっかじゃないの」
異種ミトコンドリアは一瞬色を変えると、その
まま、又液状に姿を変えた。
「まあいい。どっちにしてもかかって来なさい、
今のお前など私にかなうはずがないんだから。
お前を叩きのめして服従させ私が、メイサに
なってあげるから」
メイサは異種ミトコンドリアを睨みつけた。
千秋が咥えられ、首を噛みちぎられそうになっ
た時、頭に雪の声が響いたのだ。
「千秋に協力しなさい。いつまでも子供子供し
てるんじゃありません!」
それはまさに遠い昔、母に怒鳴られた思いとし
て蘇って来た。
「メイサはできる子、ただ努力が嫌いなだけ、
でもいつか必ず努力をしたいと思う日が来る
はず、それまでもう母さんはメイサに怒鳴る
事やめるわ」
そう寂しげにメイサに言った言葉が、母の最
期の言葉となった。
あの忌まわしい、グール化現象が起き、母は
グールになってしまった。
メイサを襲い、メイサを食べようと・・・
「うわ!!!!」
封印していた記憶が、雪の言葉と千秋の食べ
られそうな状況を見てはじけ飛んでしまった
のだ。
メイサの原動力は怒り。
抑え込まれていた怒りが、雪の言葉と目の前の
光景に触発され爆発した。
「こ・・殺してやる、あんたなんか」




