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176話 あいつを叩きのめすのよ

引き金を引いたメイサの腕に突然剣が投げ込ま

れた。

剣は、引き金を引いたメイサの銃を大きく移動

させた。


「誰よ」


千秋が振り向くとそこには千秋が立っていた。

千秋が二人睨みあう格好になっている。


「メイサあんた何してんのよ、自分の頭撃って自

 殺でもするつもり!」


「なんで千秋が二人もいるのよ」


「こいつは偽物よ」


「お前こそ偽物じゃないの」


二人の千秋はにらみ合っているが、どちらが本物の

千秋かメイサにはわからない。


「メイサ目を覚ましなさい、自殺しなさいなんて

 私が言うわけないでしょ」


「でも死ねば強くなるって・・・」


「いい加減に目を覚ましなさい」


片方の千秋がメイサの頬を思い切りひっぱ叩いた。


「痛い!」


「銃で自分の頭を撃てば痛いどころじゃすまない

 わよ」


「でも、強く・・・」


「まだわからないの」


千秋は又手を振り上げた。


「そいつはメイサを殺してメイサの身体を乗っ取

 るつもりなのよ」


「メイサ騙されちゃいけないわよ、そいつの言う

 事はウソ、頭を吹き飛ばせば強くなれるのよ、

 今の何十倍も」


メイサの目は二人の千秋を行き来していた。

どちらが本物の千秋か全くわからない。

どうしたらいいのか・・


「えーいまどろっこしい!」


突然千秋はメイサの、銃に変わった手を掴むと

引き金に手をやり、もう一人の千秋に向かい引

き金を引いた。


何発もの弾がもう一人の千秋の身体を貫いた。


「ぎゃお!」


千秋は雄叫びを上げると一瞬動きを止め、やがて

体が溶け出し、赤い液体に豹変した。


「見なさい、あれがあいつの正体よ」


「なんなの、あれは?」


「メイサの一部、あいつを取り込まないと、メイ

 サも死んじゃうのよ、だから戦いなさい、あい

 つが許しを乞う程叩きのめしなさい」


「言ってる意味が分からない」


メイサは千秋にすがるような眼差しを向けた。

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