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167話 メイサさんは死ぬだけよ

「弾かれるって・・・」


一人呟く千秋は唇を尖らせた。

雪はメイサが千秋を嫌っていなければ指を弾か

ないと言う。

これじゃあまるで嫌われ判定機じゃないか。


「早くなさい、私がこの異種ミトコンドリアを

 制御できる時間はそうは長くないから」


「もし弾かれたらどうなるの」


「メイサさんは死ぬだけよ」


「死ぬだけって」


千秋は雪を睨みつけた。

もともとこうなったのは雪のせいではないか。

最初にメイサから訓練を受けさせるように雪が

誘導したともいえる。

それなのに、いつの間にかメイサの生死を千秋

に委ねられている。

たまったものじゃない。


「迷ってる暇はないわ」


雪の催促は続く。


「あなたがメイサの心と通じ合わなければメイ

 サさんは死んじゃうのよ」


今度は脅しか。

千秋はためらった


「でも・・」


「いい加減になさい!迷うのは勝手、でもその迷

 ってる時間がメイサさんをどんどん弱らせてい

 るのよ、どんな結論になろうと、いまはそれし

 か方法がないの。文句は後にして」


「でも・・・」


「このまま何もしなくたってメイサは死ぬのよ、

 メイサを殺したいの!」


雪の怒りは本物になって来た。

それだけメイサの死が近づいてきているというこ

とだ。

触れればいいんだ、ただこの肉片に。

そう、触れるだけで・・・

結果がどうなろうと、とにかく触れなければ何

も始まらない。


触れるんだ・・触れなければ・・・


千秋はゆっくりメイサの心が宿る肉片に指を近

づけた。

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