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162話 当然訓練は私からね

「何故俺を最初に訓練できないんだ」


叫ぶ力也の唾が顔にかかるのも気にせずに、雪

は指を一本立てて見せた。


「ミトコンドリアを制御できるか否かは個人差

 があるの」


「そんなことはわかってるさ」


「いいえわかっていません。正直に言います。

 この訓練でミトコンドリアを制御できなかっ

 た人は抹殺させていただきます」


「どうゆう事なんだ?」


雪が言う「抹殺」という意外な言葉に力也はた

じろいた。


「訓練に失敗したら殺すと言うの」


メイサが眉をひそめた。

雪の言葉の意味を理解したらしい。


「少し言い方が過激だったわね。訓練に失敗し

 たその時点で、ミトコンドリアに制御され、

 グール化した化け物は私達に襲い掛かってき

 ます。問答無用にです。躊躇いもなく、私達

 を皆殺しにします。止めるには、抹殺するし

 かないのです」


三人はゴクリ、唾を飲み込んだ。


「もっとわかりやすくいいましょうか」


血の気が引いた三人に向かって雪は髪を振った。

三人が何も言わないので、雪はさらに言葉を足

した。


「たとえば、いい、この中で一番力の強い力也

 君がもし、訓練に失敗したら、とてつもなく

 強いグールになって私達に襲い掛かってくる

 の、それを私達だけで立ち向かうのは危険す

 ぎるの。でももしメイサさんから始めて、メ

 イサさんが失敗しても、私達でなんとか抹殺

 する確率は高くなる訳」


「失敗ありきの話じゃないの」


メイサが吐き捨てると


「いいえそうじゃないわ」


千秋が口を挟んだ。


「こんな考え方もできるわよ。ミトコンドリア

 を制御しやすい人から訓練を受け、無事制御

 ができれば、その人はとても強くなるわけ。

 もしそれ以降の訓練で制御に失敗して怪物グ

 ールになった人が出来ても、こちらの戦力が

 アップしてるから私達がやられる確率は低く

 なるでしょ」


雪は苦笑した。

どうやら千秋の言ってる通りらしい。


「千秋ちゃん、なんでもお見通しって感じね」


「つまり・・」


横からメイサが千秋を押しのけると、雪と同じ

ように指を一本立て


「自立ミトコンドリアを制御しやすい人から訓

 練をする、言い換えれば、失敗しやすい人は

 後になる、そう言う事ね」


「じゃあ、最初に俺が訓練できないってのは、

 俺はその自立ミトコンドリアに負けるって

 ことなのか」


「負ける確率が高いって事、このおバカさん」


メイサは力也の額を指で弾いた。


「じゃあ、当然訓練の最初のテスト生は私って

 事になっちゃうわよね」


メイサが髪を掻き揚げ言い切った。

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