143話 能力感知メーターは振りきれた
確かに瞬間移動すれば幽厳村正もついてこられ
ない。
行く先を決め、それを念じた瞬間その場所に到
着する瞬間移動はまず行先を決めないと移動で
きない。
幽玄が雪の逃げ場所を想像できるとは思えない
から逃げることはできる。
問題は千秋がバリアを無効化できるかだ。
千秋はそれをできると言う。
しかも話の内容からすると、幽厳村正に飛びかか
ってすぐできるようだ。
半信半疑と言うより、嘘だろうとの気持ちの方が
強いが、かといってそれ以外に方法はない。
力也が反乱軍の仲間の安否を調べに来ることは
幽厳村正にはわかっていた。
幽玄の目的が、雪、千秋、メイサの三人にある
ことは情報ではっきりしていた。
幽厳が自分の配下として千秋、メイサを使って
いたのは自分の目のある所に置いておきたかっ
たからだ。
幽玄としては、雪もついでに近くに置いておき
たかったろうがいかんせん、力の差は歴然とし
てあった。
勿論雪の方が格段上だ。
だからこそ幽厳村正は雪を野放し状態にしておく
しかなく、雪も幽厳村正なにするものぞ・・・
と眼中にいれていなかった。
幽厳村正には負けない自信があった雪だが、そ
こに隙があった。
まさに油断と言っていい。
まさか幽厳村正が異種ミトコンドリアに取り
込まれるとは思いもしなかった。
幽玄村正に言わせれば、むしろ自ら進んで取
り込まれたような言い方をしていたが、現実
は間違いなく取り込まれている。
人が人の理性を保ったまま、人間を殺し、食べ
るなど普通ではできない。
しかし幽厳村正は血だらけの腕をおいしそうに
かじっていた。
あれは間違いなくミトコンドリアに取り込まれた
証拠だ。
異種ミトコンドリアに取り込まれると能力は数万
倍増強すると伊集院博士は言っていた。
あくまでも計算上の理論だが、と笑っていたが目
の前の幽厳村正を見れば、まさにそれが裏付けさ
れた。
雪が感じる(能力感知メーター)は幽厳村正に向
けると振りきれて測定不能状態だ。。
こんな化け物は地球上には存在しないはずだ。




