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138話 現れた雪

力也の体を粉々にしようとした幽厳村正が力也

を離した。

というより幽厳の腕がちぎれたのだ。


「ん?」


痛がりもせず千切れた腕を振り、元に戻すと幽

厳はあたりを見渡した。


「篠原雪、またしてもお前か」


どうやら雪が幽厳村正の腕を切り、力也を助け

たようだ。


「雪さん」


千秋とメイアさは転げ落ちた力也を羽交い絞めに

すると、二人で押さえつけた。

放っておけば又、幽厳村正に挑みかかろうとする

からだ。


「来てくれたの」


「千秋ちゃん逃げなさい、力也君を連れて早くこ

 こから逃げるのよ」


「俺は嫌だ、死んでも・・・」


大声を上げてもがく力也が突然気を失った。

見上げれば藤木が麻酔針を持って笑っている。

どうやら力也に麻酔薬でも打ったのだろう。


「藤木さんも来てくれてたの」


千秋の驚き顔に


「止めても無駄だから、とりあえずはいかさないと

 ・・が雪さんの考えでしたから」


雪の言う通りだ。

一度こうと決めたら、力也は考えを翻さない頑固

なところがあった。

だからこそ、千秋もついて来たのだが、まさか雪

と藤木までが来てくれるとは思ってもみなかった。


「勘違いしないで、今あなた達は私達にとって必

 要な人達だから来たのよ、とにかくその駄々っ

 子をここから早く連れ出して」


「さあ、行きますよ」


力也を軽々担ぐと、藤木は駆け始めた。

メイサも行こうとするが、千秋が立ったまま動

かない。


「千秋、行くわよ」


「先に行って、私も後からすぐ行くから」


少し逡巡したが


「いいから、早く行って」


千秋の一言で、メイサも藤木の後を追った。

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