132話 私だけを守って
北王子母娘救出に、千秋達と一緒に力也もつい
て行くと言い出した。
「力也君が付いて来てくれるのなら百人力じゃ
ないの」
雪がメイサに促すと
「あいつ何か下心がありそうだし」
「おいメイサ、何だよその下心ってのは」
「例えば私に気に入られたいとか」
「お前なあ!」
憤慨とした力也がメイサに詰め寄ろうとするの
を千秋が止めながら
「でもいいんですか、向こうはこちらから行く
人間を指定してるんでしょ」
雪はチラリ、伊集院を見ると
「いいんです。私と千秋ちゃんとメイサさん、
それに護衛が二名、一名は藤木さんにお願い
してますから、そこに力也さんが入れば人数
的にもぴったりです」
話がうますぎる気もするが、千秋は納得したの
か、メイサに
「行きましょ、あの母娘を助けに」
「あの母娘って私なんか、会ったこともないの
よ」
メイサはまだ気に入ら無いようだ。
しかし藤木が護衛で付いてくると言う言葉には
敏感に反応した。
「でもまあ、人助けはしなきゃ人道に外れるし、
ここは行くしかないか」
ちゃっかり藤木の腕に手を回すと
「藤木さん、しっかり守ってよ、私だけでいい
から」
しなだれかかって行った。
「あ、、はい、、勿論守ります、皆さんを」
「いいのいいの、あいつらは自分のことぐら
い自分で守れるから、でも私はほら、科学
者でしょ、どこかの筋肉お化けとはちがう
から、か弱いの、頼んじゃうわ」
「どこは筋肉お化けだ」
力也が襲い掛かろうとすると
「ほら、自分だってわかっているじゃないの、
自分が筋肉お化けだってこと」
メイサはケラケラ笑いながら、それでも藤木の
腕だけは離そうとはしなかった。




