122話 あの時の王子さま
千秋は藤木が言う程、自分に相手の弱点を見
出す能力が優れているとは思っていなかった。
後方から戦いを眺めていれば、誰でも弱点を
見つけることがわかるものだと思っていた。
そうではなく、むしろ弱点を見つけることが
できる千秋の能力が特別だったようだ。
「何か弱点が光って見えるとか」
どうやら藤木は純粋に聞いてきているようだ。
「いいえ、なんとなく、なんとなく、気付け
ばわかっていた、そんな感じなんです」
「凄い、それってミトコンドリアの能力です
よね」
藤木までミトコンドリアを出してきた。
どうやらグールとミトコンドリアには密接な
関係があるようだ。
「伊集院博士がいってましたが、ミトコンド
リアの能力は様々で、まだすべてが解明さ
れていないですが、相手の弱点がわかるミ
トコンドリア、これは凄いですよね」
何が凄いのか千秋にはわからなかったが、曖
昧に頷いて見せた。
後ろからメイサが二人の間を割るように現れ
ると
「千秋、抜け駆けはダメでしょ、抜け駆けは」
本気で怒っているようだ。
「私は別に」
「ねえ、藤木さん・・」
千秋の言葉を無視し、メイサは藤木の手を引く
と千秋から離れた。
「千秋、お前まであんな色白男に惹かれるのか」
力也は面白くなさそうだ。
「馬鹿、メイサと一緒にしないでよ、私は気にな
る事があって・・・」
千秋は又、藤木の横顔を見た。
間違いない。
あの時の顔だ。
あの時の王子さまこそ、藤木直人だ。
「また見とれてるじゃないか」
ふくれる力也に
「あんたには関係ない話でしょ」
力也から離れた。




