117話 で、結局私たちはグールなの、人間なの
「で、結局私たちはグールなの、人間なの」
千明は改めて伊集院にたずねた。
「うーん、やはり難しい質問です」
伊集院は苦笑している。
「どちらとも言えないのよ、今の段階では」
雪が助け舟を出した。
「そんな中途半端な意見聞きたくないわ。グー
ルのトップが私達を呼びよせるには何か理由
があるはずだわ」
千秋も負けていない。
「だから言ったでしょ。幽厳村正があなた達を
捕えようとするから助けただけだって」
「じゃあ、何故私達だけ助けるの、今まで何人も
のハンターが幽厳によって殺されて来たわ、そ
の人達を無視して、どうして私達だけ」
「それは、あなた達が特殊だからよ」
「どう特殊なの」
「一言では言えないわ」
雪はかぶりを振った。
「あなた達にはまず、グールとは何か、人間とは
何か、そのあたりから説明しないとわかっても
らえないと思うの」
「じゃあ、そこから話してください」
珍しく千秋は粘った。
中途半端なままでいたくなかった。
グールならそれはそれでいい。
人間ならむろん喜ばしい。
とにかく、今自分が何なのかはっきりさせてほ
しいのだ。
「千秋君達は、グールでもあり、人間でもある、
今言えるのはそこまでなんです」
伊集院がゆっくり千秋に近づいてきた。




