112話 おかしな話
「あ、私、黒木メイサ」
横からメイサが飛び出すと差し出した藤木の
手を握った。
「あ・・・はい」
戸惑う藤木に
「私も有名だったでしょ、美人で賢い科学者
って」
「ええ、まあ」
困惑する藤木にメイサはさらに
「今後ともよろしくお願いしちゃおうかな」
更に手を重ねた。
「おい、メイサ、いつまで手を握ってるんだよ」
力也が割り込んで、いきなり二人を割いた。
「ん、もう、力也なにするのよ」
「俺は竹内力也、この女達に手を出すと承知し
ないからな」
「ちょっと、力也待ちなさいよ、何その言い方、
何が女よ、いつ私達あんたの女になったのよ、
誤解されるでしょ、藤木さんに」
メイサは力也を無理やり後ろに押しやると
「こいつ、不細工でしょ、だから藤木さんみた
いないい男に嫉妬する癖があるの、気にしな
いでほっといてね」
「待て、メイサ、なんて言い草だ」
「もう、豚は黙ってなさい」
「誰が豚なんだよ」
「二人ともやめなさいよ」
千秋が中に入ってメイサと力也のいさかいを止
めるとゆっくり前に出た。
「栗原千秋です」
ゆっくり、藤木直人に手を差し出した。
「藤木です、先ほども申し上げましたが、栗原
千秋さんにお会いできて光栄です」
がっしり手を握り返した。
本当に喜んでいるようだ。
しかしおかしな話だ。
本来ハンターはグールを殺すために組織された
団体だ。
喜ぶはずはないのだが・・・。
「でも私達ハンターはあなた達の敵ではなかっ
たのですか」
しかし、手は握られたままだ。




