110話 別のグール
「あのゴキブリの化け物の事?」
メイサが雪に聞くと
「確かに、ゴキブリのお化けねあれは・・・」
銀のスーツの男達がクスリと笑った。
どうやらロボットではないらしい。
しかし相変わらず直立不動だ。
「何よ、その男達は何者」
メイサはスーツ姿の男達を一瞥した。
十数人、綺麗に一列に並んでいる。
「ブースは元木博士がカブトムシを改良して作
った攻撃マシン。まだ実物を見たことはない
けど噂には聞いたことがあるの」
「あら、あれはカブトムシだったの」
言いながらもメイサは
「ねえ、元木博士って、あの元木博士?」
メイサの顔が輝いた。
「あの元木博士がどの元木博士なのかわからな
いけど、世界的に有名な元木博士なら、その
博士よ」
雪の顔にも笑顔が宿っている。
「メイサ知ってるの?その元木博士って人」
「元木博士を知らなきゃ、科学者としてはもぐ
りよ」
「偉い人なのか?」
力也も話に割り込んできた。
「偉いも何も、地球上で一番賢い科学者と言わ
れてた人よ」
「言われてたというと、今はいないの?」
千秋の問いに
「確か三年前ぐらいに行方不明になったと聞い
たけど」
メイサは雪に説明を求めた。
「元木博士は別のグールの一派なの」
「別のグール?」
言いながら、メイサは気づいた。
「ねえ、ここグールのアジトなんでしょ、なん
でグールのアジトにグールが襲ってくるわけ」
「グールも一つじゃないってことですか」
千秋が聞くと
雪は頷きながら
「大きく分けるとグールは伊集院派と元木派に
分かれているの」
「なにそれ?本来グールは群れないって言われて
いたけど、そうじゃないの」
「ふふ、勿論グールは集団で行動するわよ、この
戦いみてもわかるでしょ」
「嘘・・・知らなかった」
メイサは本当に驚いているようだった。




