108話 グールは人間より賢く強いわよ
「メイサ、あんたはどうなの、グールになって
いたとしたら」
メイサは髪を撫でながら
「うーん、どうだろう」
腕組みをし
「人間とグールの違いって何なんだろう」
力也を睨んだ。
「人を喰らうのがグールだ」
吐き捨てる力也に
「食べられるのが人間とも言えるわね」
「なんだ、それ?」
「人間は豚とか牛とか食べてきたでしょ、つま
り人は食べる側で、牛とか豚は食べられる側」
「だからどうなんだ」
「つまり人が牛を食べるのは正義で、食べられ
る側の牛が悪としたら、グールが正義で人間
が悪になる訳でしょ」
力也は首をひねった。
メイサの言わんとしていることがわからないのだ。
「どうして人は牛とか鳥を食べるの?」
千秋が代わって力也に問いただした。
「そんなの喰わないと死んじまうからだ」
「何故人間が牛を食べるのは許されて、牛が人
間を食べるのは許されないの」
「牛は人を食べない」
「虎は、ワニは、クマは」
黙ってしまった力也に
「虎が人を襲ったら、すぐその虎を悪として人
間は虎を殺すでしょ」
「そんなの当たり前だろ」
「どうして人間は牛を食べても許され、虎が人
間を食べると悪とされるの」
「そんなの・・・そんなの、人間の方が賢く
強いからだ」
「つまり強くて賢い側に正義は常にあるって
ことでしょ」
「グールは人間より賢く強いわよ」
メイサがニタリと笑った。
メイサの言わんとしたことだ。




