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107話 グールになっていたとしたらどうする

千秋が言った「終わりの始まりは」メイサと

力也の心に深くのしかかっていた。


確かに人類の未来が見えない。


だからこそ皆退廃的になり刹那的に生きてい

る。


今さえよければそれでいい。

未来など当てにできない・・・


この10年、人類の生活は確かに滅茶苦茶だ。


快楽と暴力が蔓延はびこり、力の有無が

正義の物差しに変わりつつあった。


正義は力ある者の下ある。


全てをグールのせいにし、グールさえ倒せば又

元の世界に戻ると信じている。

否、信じているふりをしているのだ。


誰もが実は心の中で思っている。


グールの駆除などできっこない。

駆除されるのは人類の側なんだと。


誰だって知っている。


賢い奴は、優しい奴は、尊敬できる奴は、美しい

奴は、皆グールになってしまった。食べられる側

として残った人間は(滓)ばかりだと。


滓はいずれ塵となり、やがてグールの世界が始ま

るのではないかと。


「私逃げないで聞いてみようと思うの」


メイサは千秋の言葉にうなずいた。


「グールの事よね」」


「そう、グールって何?少なくとも私達人間より

 は研究が進んでいると思うの」


「そんな事聞いてどうするんだ」


大声でどなる力也に


「現実を直視したいの、逃げるのは嫌なの」


「俺のどこが逃げてるんだ」


「もし力也、グールになっていたとしたらど

 うする」


力也は唇を噛みしめ、身体を震わせている。

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