100話 私って、凄いって事
メイサと力也が愚話をしている間、千
秋は腕組みをしていた。
二人の漫才のようなやり取りを、聞いているの
かいないのか、突然手を打つと
「さっき私、掌から光線出したわ
よね」
二人の顔をマジマジと見た。
「ああ」
じゃあ、今度も試してみるわ
「試すって何を」
「私の本能」
「本能?」
呆れる二人に
「まあ、見てて、あ、メイサと力也、甲羅が何
とか剥がれたら、二人とも思い切り攻撃仕掛
けてね」
どうやらブースの甲羅を剥すつもりらしい。
千秋は二人から距離を置くと、ゆっくりブース
に近づいて行った。
エネルギーの充填が終わったのだろうか、ブー
スはゆっくり目線を千秋に向けると、青白い光
線を噴射した。
「あっ!」
メイサと力也が目を閉じた。
当然千秋は光線をよけるものと思っていたのに、
両手を広げてわざと浴びに行ったからだ。
光線を浴びた千秋の体は一瞬のうちに凍り、ブ
ースは更に光線を浴びせかけた。
ピクリともしない千秋を見て、正気に戻ったメ
イサは
「力也囮になりなさい、その間に私が千秋を助
けるわ」
「ダメだ、俺が千秋を助ける。あいつ凍ってる
だろ、触れれば、触れた方もどうにかなるか
もしれん」
「あんた、私をかばってくれてるの」
「当たり前だろうが、男は女を守る者って昔から
相場は決まってるだろうに」
一瞬メイサがしおらしくなった。
「それと、俊敏性は俺よりメイサの方が優って
る、あの鈍い光線にメイサなら目を閉じてい
てもかわすこと事できるだろ。おれはヒイヒ
イ言ってかわしてるもんな」
「それ、私って、凄いって事」
「ああ、俺が知ってるハンターの中では俊敏性
はピカ一だ」
「じゃ、決行」
言うとメイサは銃に弾を込めると、ブースに向
かって撃ちまくった。




