きえゆく星の灯
その日は一つの星が死んだ夜でした。それは金星や北極星よりもキラキラ輝いて、星の最期はなんでこんなにも美しいのかと思わずにはいられませんでした。
「で、近藤くん、」
「何かな?」
「あの星の名前って何?」
「知らないなぁ」
「近藤くん、」
「どうかしたか?」
「何故教授もいるの?」
「おや、私が居ちゃマズいのかね」
「そういうことではなくて、」
「ならば良いじゃないか」
「…そうですね」
「諦めが早いな」
「だって教授だもん」
「そうだ、私は教授だ」
「相変わらずウザいですね、教授」
「相変わらず辛辣だな、近藤くん」
「あー、星キレイだなー」
「まったくだ」
「右に同じ」
「(二人とも星は好きなんだな)」
わたしはずっと昔に死んだ名前も知らない星の光をじっと見つめていました。教授と近藤くんは、その脇で、あの星はいついつのビックバンで生まれたのだ、とか、向こうの星座の所以はなになにだ、とかお互いの星に関する蘊蓄を披露しあっています。静かに星を見られないのか、この人達は。
「時に近藤くん」
「なんでしょう」
「彼女を譲る気にはなったかな?」
「意味がわかりません」
「そうか」
「……………あの、」
「なんだね?」
「教授は、…わたしがすきなんですか」
「この気持ちを言葉にするならば、そういうことだな」
「東くんはどうなんだ?」
教授、趣味悪いですね。自分で言うのもなんですけど。
きえゆく星の灯
このなんとも言えない気持ちごと星が攫ってくれれば良いのに。
(わー、教授ロリコンー)
(近藤くん。私はこう見えてまだ若い)
(そういう問題じゃ…)
(なら問題は何かな?東くん)
(わたしの気持ちですよ)
(ていうか俺、セリフ盗られた)
END