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星の決断

 孤独なまま≪星皇帝≫として星と共にあり続けて二十年。


 心とは裏腹に身体は限界に達した。

 倒れたまま起き上がれなくなったのだ。


 元々三人が受けるべき<意志と力と愛>を一心に受け続けるのは肉体的に無理があった。

 少なくとも三倍。ましてや光を多く宿した身ではバランスも悪かった。


 寝台に伏せり意識はなく、うわ言で民を心配する。

 そんな星皇帝を民は心配し、必死に願った。


 ロクーム星は決断した。


 もともとロクーム星は自らに住む民を愛する星。


 だから星妃が生む以外の子供が生まれることにも何も告げなかった。

 星皇にすら伝えたのは生まれた瞬間だ。

 ただそのことが当時の星妃・星帝・星皇まで亡くすとは思ってもみなかったのだろう。

 生まれ来る生命としてみていたのだ。


 ただだからこそその子供たちは愛した。

 ≪星皇帝≫にしか声は伝わることはなく、その言葉を信じられないことを哀しみながらも…。



 ≪星皇帝≫が何度目かの危篤時、とうとうその身体に一部を降ろした。

 力を貸すのではなく、自ら入れたのだ。


 ある意味危険な賭けではあった。


 だがもう今回を逃せば助からないことも分かっていたのだ。


 死期を感じていた唯一の兄弟たる手を取り、驚く臣下に告げる。


 “我はロクーム。今はこの者の肉体を借りうけておる。聞くがよい。この者の肉体は限界だ。我の内にある限り良くなることはない。そこで他の星に移す。それしかこの者を生かす道はない。王には兄弟たるお前がなるがよい。我の声が聴こえずとも資格はある。そなたもまた我が愛おしい子だ。ただ声が聴こえぬ以上苦労もあろう。皆も助けよ。我も力を貸そう。そなたが愛おしいと思う相手を妃に選び、子をなせ。その者たちが次代の星皇と星帝だ。我はもう…”

 「……お待……ちくだ…さ……い」

 「星皇帝!!!」

 「…星妃………選…ぶ…こんか…」

 「星皇帝!!意識が…」

 “……おまえは案じてくれるのか。こんな苦しみしか与えてやれなかった星ですら案じてくれるのか。…もしおまえが他の地で幸せを掴み、娘でも生まれたら私も再び星妃を選べるのかもしれぬな”

 

 星皇帝はかすかに微笑み、兄弟の手をどこにそんな力が残っているのかと思うほど握りしめた。



 風が舞った。



 残されたのは切られた長い光の髪のだけであった。



 



 

過去話とりあえず終わります。

ちなみに父様からの手紙には父様なりの解釈で書かれているので、少しくい違いがあります。

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