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生まれた時から星皇帝

 星は星皇に<意志>を、星帝に<力>を星妃(王)には<愛>を注ぐ。

 星妃は星を癒す存在であり、文字通り<星の妃>とも言われる。


 その星妃が突然失われた。

 しかも星妃を守るべき存在であるはずの力を与えられた星帝たちが間接的とはいえ、原因ともいえる。

 ロクーム星は哀しみ、星皇呼びかけにも星帝にも力を与えず荒れた。荒れ果てた。荒廃寸前までいったらしい。

 何も見えなくなっていたロクーム星の目を覚まさせたのは星皇と星帝の死だった。

 二人は自らを生贄として星の意識を戻す道を選んだのだ。

 何よりも生命を愛する星は嘆きから正気に戻った。

 それを告げたのはまだ言葉もままならない光の御子だったらしい。


 その瞬間から星の<意志><力><愛>は≪星皇帝≫というたった一人に託された。


 

 教えを請うべく父母はおらず、周りは皆、神の如く崇める。

 星は反省を持って惜しみない力を与えたがそれがますます奇跡の力となり孤独を深めた。




 そんな父様が唯一心を開けたのはやはり唯一の肉親たる叔父様だけだったのは当たり前なのに、何故それがわからないのだろう。

 叔父様はただの光に対する闇の象徴として宮殿にいたのだと語るその息子の顔を眺めながら、妃芽はぼんやりと思う。

 叔父様も遠慮していたらしいが、おかしな話だ。

 すべては深く考えなかった祖父の責任だ。生まれてきた子供に罪はない。

 星を正気に戻すため云々で、しかもなぜか自分の兄弟の共に死んだという祖父。

 死者を冒涜したくないが、あえて言いたい。



 残される子供たちのことは考えなかったのですか…



 父様が手紙に書かなかったのではない。…書けなかったのだろう。

 今の父様には義理とはいえ父がいる。もちろん言わずとしれた母様の父。私の爺様だ。

 豪快で職人気質の爺様との関係は本当の親子のように暮らしている。

 もともと山で遭難(私はずっとそう信じてました)していた言葉も分からない人物を世話するような家族だ。父様はそこで本当のぬくもりを手にいれたのかもしれない。


 思い出した。


 一度だけ父様がつぶやいたことがあった。

 私がそばにいることに気付かないほど何かにとらわれたように空を見上げながら、

 「私にもっと力があればお前にもこの温かさがあたえられただろうか。すまない」

と…。



 もしかしたら叔父様のことだったのですか。

 

 目の前にいる父様と同じ光に煌めくプラチナブロンド。そして寂しさと孤独を隠した深淵の瞳をこちらに向けて話す星帝の姿に心の中で妃芽は問いかけていた。



 


 

終わる予定だったのにまだ続きます。すみません。

そしてコメディ予定がいつの間にかシリアスに…あれ?



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