星皇様は従兄妹殿
いきなり現われた星皇は「いとこ」と言ったことから父の兄弟の子供ということになる。そのことを尋ねると、
「はい。星の姫君の父君たる星帝皇と恐れながら私の父は…異母兄弟となります」
と、超絶美形が儚い微笑みと共に言う。
異母兄弟。しかもそれが原因でこんなに…。地球でもいい話とは言えない場合もあるけど、いくらなんでもここまでのことに…
これまた我ながらたちの悪いことを考えてしまうが、その考えは妃芽の中から消えていく。
彼の話が真摯だったからでもなんでもない。
少し父様に似てるのよね。
それだけだった。妃芽は父の輝く瞳が好きだった。本人は「暗闇で光ると変だから」という理由で夜の外出時にサングラスは欠かせなかったのだが、常々もったいないと思っていたのだ。
妃芽自身、視力はいいし夜目もきくが金瞳ではない。例えるなら琥珀だ。全体的に色素が薄く、綺麗な茶髪(大地の髪)とよくあった可愛らしい娘だ。
今15歳ならこれからどんどん女性らしくなるだろう。ロイもきっと…
「…聞いてますか、星皇様」
暗闇でも難なく見える瞳で思わず目の前の姫を凝視していたらしい。
「失礼いたしました、星の姫君。怖がらせてしまいましたか?」
ロクーム星では普通でも伯父上の渡られた星では非常識だったのかもしれない。
冷静に返しながらも心であせっていると、妃芽は首を横に振る。
「父様と同じ瞳で羨ましいくらいです。話といい、星皇様は父様に似ています。…従兄妹なのですね」
「星帝の方がよく似ているというお話ですよ。もちろん瞳の色は違いますが」
「星帝様ですか…」
思わずため息をついてしまう。
「どうされました」
「…父の手紙は読みました。星妃がどうしているかも頭では理解できます。でもなぜ私が嫁にまでならなくてはいけないのですか!!」
「はい…?」
「…仕事を手伝えとかまでならまだ妥協はしましょう。幸いどうしても叶えたい夢があるというほどでもありませんでしたし、いずれは働くために両親から離れる可能性もあったでしょうから。まぁ高校に行けなくなるとは…そういえば父様、高校受験のために勉強していた私に無駄とか言って、母様に叩かれていたような…」
「叩くですと!あの伝説の星帝皇を…」
「…伝説?」
大げさな言葉に首を傾げると、目の前の首は大きく肯定を表す。
「そうです。光の髪と光に瞳をもち、唯一ロクーム星からすべてを託された光の星帝皇ライクロース・レステアル=ロクテラン。…星を愛し、民を守り、星に愛された偉大な陛下です」
あまりの賞賛の嵐にファザコンのはずの娘はひいていた。
なかなか過去の話が挟めない。