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父様からの手紙

 愛おしい娘、妃芽


 この手紙を読んでいるということはろくに説明もできないままにロクーム星に着いたということだろう。さぞ驚いていることだろうと思う。

 落ち着いて読んで理解してほしい。

 父様が雷雨の夜に山で遭難していたところを村の人たちに助けられ、親父殿の家に引き取られたことは知っているだろう。記憶を失い、言葉すら通じない僕を懸命に世話してくれた志乃との時間は今までのなにものにも代えがたく


 ごめんなさい、父様。二人の恋話はもう耳タコだからとばすわ。

 いつもなら喜んで読むけど、流石に今は状況を知りたい。


 記憶を失ったというのは嘘だ。


 あっ…。この辺りからかな。

 え?


 行くあてがなかったのは本当だが、言葉が通じるようになるのにかかった数年ですっかり村のみんなにも誤解されて、説明のしようもなかったから悪いがそのままにしておいた。もちろん志乃は知ってるし、親父殿も今は亡き母御もご存じだ。


 …つまり私だけが知らなかったってことですか。

 手紙を持つ手が震える。


 怒らないでくれ。父様は妃芽が生まれた時に話そうとした。でも志乃が泣いて止めるんだ。

「本当にそんな運命か分からないではないかと」星の意志が絶対のロクーム星が決めたことは絶対だと言いきかせても駄目だった。志乃はたおやかな見かけと違い芯が強くて、そこがまた


 はいはい。父様の理想が母様なのは知ってます。でも私の理想は父様なのよ。その娘相手に…

 私まで脱線してる。父様と血がつながっている証拠だわ。嬉しいけど哀しい。そう。私は自他供に認めるファザコン。

 私の父様、天里ライは煌めくプラチナブロンドと輝く金の瞳の持ち主。(実際に暗闇で光るのには驚いたけど、猫のように見えるらしい)背も高く、すらりとした体系は中年という言葉からはほど遠い。働き者で人格者で、母様一筋で…コホン。もちろん私も愛してくれているわ。娘としてだけど「僕たちの大切な星の姫」って…。

 そういえば私の「妃芽」って名前、父様が慣れない漢字と格闘(?)して考えてくれたらしい。同じ読みなら「姫」の方が楽なのに。

 ってまたそれてる。


 父様は今、妃芽がいるロクーム星の生まれだ。その星の星帝の息子の一人として生まれた。

 詳しくは後で書くが、ロクーム星は生きた星だ。王家の人間と星に選ばれた姫は星に役目を与えられ、星に代わり民を導くのが使命だ。

 星皇は星の神殿で星の意志を聴く。

 星帝は星の声を星皇から聞き、その言葉のまま星の力を引き出し、民を守り治める。

 星妃は星帝の補佐をし、また星に安らぎを与える。また星帝の妃でもある。

 星皇と星帝は双子で、二人で星皇帝となる。

 まぁ少なくとも父様の父の時代まではそうだったよ。僕たちは星をロクーム星を怒らせてしまったのだ。そのために…。詳しいことは手紙では書ききれないな。お前の夫に聞きなさい。お前が生まれたということはロクーム星はお許しくださった証しだと父様は思っている。


 何?父様は何を書いてるの?

 手紙が手がぶれて読みにくい。


 星帝は光と髪と闇の瞳。星帝は闇の髪と光の瞳。そして星妃は大地の髪と額に星の花ユーフィリアスの印が刻まれる。そうお前の額にある痣だ、妃芽。


 そこから先は読めなかった。

 手紙が手からすべりおちていったから…。

 





 



次回から出て参ります。

ただし婚約者までは無理かな…?

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