運命の15歳の誕生日
寝転んだまま空を仰げば雲ひとつない青空。こういう空を蒼穹っていうのかな…。
右を見ても左を見ても何もない。なんだか空に浮かんでいるみたい。…なんか掘っているような石畳の上でなければだけど。
で、ここは何処なんでしょう。なんで私、こんなところで空を見ているのだろう。
妃芽はやけに落ち着いている自分にも不思議に思いながら考える。
昨日、妃芽は中学校を卒業した。
山間部の小さな村といってもいい町で生まれ育ち、ご近所さんはみんな知り合い。
小中学一貫の分校でずっと学んできたが、高校だけは村になく春から一人暮らしが決まっている。
おかげで今日の私の誕生日は祝ってくれているのか、別れを嘆いているのか分からないくらいのテンションで、最後はみんな揃って大号泣してしまったのはいい思い出ということにしておいた方が精神的にいいだろう。
小山となったプレゼントを抱え帰ってきたら、父母がやけに神妙な顔をして待っていたのが思い出される。今日は小学生のちびっこもいたからそんなに遅くはなってないはずなのにと思いながら、挨拶をしようとした瞬間、めまいを起こした。二人の慌てた顔をオーバーなと思いながら、笑おうとしたら頭となぜか顔に衝撃がきてブラックアウト。
…そうよ。なんで顔が痛かったのだろう。
…。
……。
………!
何よ、これは!!
起こした身体の周りには抱えていたプレゼントはまだしも、スポーツバックにスーツケース、果ては風呂敷包みまで散乱している。しかもすべて見覚えあり。うちのものだ。
一番近くの手が届いたバックを開けると私の服や…下着!
慌てて閉める。
『…まだ引っ越す日ではなかったよね』
荷物を拾いながらつぶやく。
まだこの時は現実とは思っていなかったのだろうと、後になって妃芽は思い返す。
いつの間にかこちらを見ている人影にかけらも気付いていなかったのだから。
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