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57 若侍達

 三月二日 桜が満開を過ぎて微風にすら一斉に花びらを散らしている。御所の蹴鞠場けまりばに多くの若君らが集まっている。

 実朝15才・和田朝盛(とももり)15才・東胤行とうのたねゆき13才とその父、東重胤とうのしげたね31才・一世を風靡する朝廷歌人藤原定家の弟子の内藤知親ないとうともちか28才・北条泰時25才である。

 今日は蹴鞠のが開かれているのだ。

 実朝も近頃は上達して、見ている女房達五人と御簾の向こうの政子と実朝室の拍手を浴びている。和田朝盛などは、大柄なことに加えて、流麗な身体運びが、人々を感心させている。


 三月三日 朝方起き出して実朝と実朝室は降りしきる雪のように見える桜の中にいる。

「鎌倉殿は私に関心がおありですか」と室は実朝にふいに聞く。

「なぜにそのような事を聞くのだ?」

「・・・ねやをともにしながらお抱きにならないからです・・・」

「そのことはいつか話そうと思っていました・・・けれども」

「けれども?」

「兄、頼家だけでなく、それ以前も叔父の義経様、その長男の子と次々と亡くなり、源氏の子は死ぬ定めのように思えます。私はあなたを愛おしいと思っておりますが、あなたに添い寝しようとすると、その事が想いおこされて怖いのです。私の子供が亡くなることに私は耐える事ができないと思うのです」

「・・・お気の毒な鎌倉殿・・・」

「将軍、将軍と祭り上げられていますが、いつ暗殺の手が伸びてくるか判らないのです。兄が邪魔だから

それを取り除き幼い私を将軍としたのです。私が魔手にかかるのは忍べますが、わが子に魔手がかかるのはどうしても嫌です。それであるなら子などない方が良いかと思うのです」

「お子を作りたくないと言うお気持ちはわかりました。それならばそれで良いです。子は作らないように致しましょう、けれどもお抱きになって下さいましね」

 実朝は室の顔をまじまじと見てうなずいた。

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