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51 北条時政更迭

 閏七月十九日 政子は義時とともに三浦義村と相談して元服後名越邸に住んでいる実朝を取り戻す方策を立てた。

 うまの刻前、(昼前)義村は鶴岡八幡宮前の義時邸からと言うことで時政邸に使者をだした。名越邸に着いた使者は守備の郎党に、理由は言えぬが、とにかく早く義時邸に来てくれと告げた。

 普段でも百騎を越える郎党に守られた時政邸だが、騎馬が激しく出て行ってたちまちがらんとして無防備になってしまった。

 その後、長沼宗政ながぬまむねまさ(この年44才、小山政光次男、小山朝政、結城朝光の兄弟。頼朝の奥州征伐に随行、比企能員、畠山重忠の追討に従う。五年前、美濃国大槫莊(だいせんしょう)の地頭職を得る)、結城朝光、三浦義村、三浦胤義(義村の九郎)天野政景あまのまさかげ(比企能員暗殺の遠景の息子)ら五十騎を出して実朝を迎えに行かせた。


 無防備の時政邸を郎党が取り巻く中、三浦義村が邸内に入って行った。時政は邸内の大庭に面した座敷に、憮然とした顔をした顔をして座って言った。牧の方も少し離れて座している。

「何用だ」義村はめ付けるような時政の鋭い視線に臆せず朗々とした声で言い放つ。すでに、時政は義村の上司ではない、実に横柄な声音だ。

「牧の方様に良からぬ風聞があります故、鎌倉殿をお引きとりにまいりました。御台所の仰せ付けでございます」

「無礼な」

「ご異存はありますか」義村は、にやりと笑った。「屈強の郎党も来ておりますぞ」

「うーむ・・・」悔しげに時政は義村をにらんだ。やはりこやつは力ある者に靡く汚らしい犬だと思った。

 見れば、大庭の影に弓を手にした郎党までいる。

「義時が裏で指図しているな」

「さようでございます」

「ふむ、義時はなかなかの、策略家だな」と苦笑いする。

 時政は牧の方を振り返って言う。「もはや、これまで、鎌倉殿をお連れしろ」時政は、やはり歴史を変えるほどの、いさぎよい男である。

「あなた政子のいいなりに成るのですか」

「良いからすぐにお連れするんだ」義時との不仲を生んだ牧の方に時政の視線はきびしい。









 



 

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