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48 芽生える詩才

 実朝は万葉集が好きだった。若い感受性に万葉の歌は染みこんだ。次の歌は実朝の才能を示す歌だ。実朝が愛する物は、権力でなく、移り変わる自然の美しさであった。


 春はまず 若菜つまむと めおきし 野辺とも見えず 雪の降れれば

 

 (春にはまず若菜を摘もうと決めておいた野辺にはどうも見えない 雪がこんなに降り積もっているから)


 若菜つむ 衣手ぬれて かたおかの あしたの原に 淡雪ぞふる


 (朝方なだらかな丘の原で袖をぬらして、さ緑の若菜を摘んでいると、淡雪が優しく降り続いている事だった)


 春来ては 花とか見えむ おのづから 朽ち木のそまに 降れる白雪


(春が来ては 桜の花びらに見えてしまう 枯れ木のそばに 自然に積もった雪であるのに) 


 ちなみに万葉集に載る、山部赤人やまべのあかひと(未詳~710年)の歌に、この様な歌がある。


 明日よりは 春菜つまむと しめし野に 昨日今日も 雪は降りつつ


(明日からは春の菜を摘もうと定めておいた野に昨日も今日も雪は降り続いている)


 実朝はこの歌に影響をうけながら、そこから、新しい歌を作り出しているように思う。このような精緻な美しい感性の人が殺風景な殺人者に混じって生きて行くことは、何という皮肉であろうか。





 


 


 



 


 

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