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4 北条と比企の争乱 

 平家との戦いに負けて、伊豆に流されてきた十三才の頼朝と相撲を取ったり、狩りをしたり、何かと遊び回っていた。頼朝とほぼ同年配であり、今五十六才だ。すでに若いとは言えないが、人が「殺し屋天野遠景」と呼ぶほど今までにも数々の謀殺に関わった腕力の持ち主である。もう一人刺客として選ばれた新田忠常にったただつねは弱小な所領しか持たない伊豆仁田(にんだ)の百姓みたいなものであった。頼朝と二十一才も年が離れているが、頼朝のお気に入りで、今から十五年前に忠常が急病で危篤状態になった時には頼朝自ら見舞いに出向いたと言うほどであった。忠常は、将軍頼家にも信頼が厚い。ちなみに、この後の歴史に登場する新田氏とは関係がない血筋である。北条時政の呼び出しで頼家側の比企追討に出たのは二人ともしかたがない保身のためである。比企に就くか北条に就くか選択はひとつしかないのだ。

 どんなに比企や頼家に親しかろうがおのれが生き残るためには友や息子も見捨てねばならないのが武者もののふの常識なのだ。北条時政にとっては、この古豪の二人を共犯者に引きずり込むことは利の多いことだった。

 時政の一団は途中で騎馬を加えたが、その時天野遠景が時政にこう進言した。「軍兵を出すまでの事はありますまい、御邸やしきに召しだし、これを討つべきです」 「そうだな、そうすべきだ。事を荒立ててはいかんな」 時政は軍勢を名越の邸にもどした。

 時政は邸に戻った後、中原広元を呼び出した。広元は突然の呼び出しに先刻の曖昧な返事の処分と思い緊張した。命を取られるかもしれないが出頭しなければならない。そのただならぬ雰囲気と表情に驚いた家人が、みな広元に付いて行こうとするが広元はそれをおし留めて飯富宗長おぶむねながだけを伴って屋敷を出た。

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